研究領域 | トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築―多文化をつなぐ顔と身体表現 |
研究課題/領域番号 |
18H04182
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松田 壮一郎 筑波大学, 人間系, 助教 (90762675)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 対人相互作用 / 定量解析 / 工学デバイス / 対面 / アイコンタクト / ウェアラブルデバイス / 自閉スペクトラム症 |
研究実績の概要 |
①2者間会話中における物理的対面機能の分析:相手と向き合う角度(0度、180度)により、ウェアラブルデバイス(FaceLooks)により計測された物理的対面、及びビデオコーディングによって計測されたアイコンタクトの生起頻度がどのように異なるか、定型発達成人18名を対象とした実験を行った。その結果、正面に座る条件(0度)に比べ、横に座る条件(180度)において、物理的対面の生起頻度が少ないことを明らかにした。 ②発展的な研究1:視点を低く変換するデバイス、CHILDHOODを用いた実験を行った。A.視点変換による対人距離の知覚変容:定型発達成人9名を対象として、視点の高低、及び姿勢によって、パーソナルスペースの知覚がどのように変化するか、実験的検討を行った。その結果、視点を低く変換することにより、不快に感じる対人距離が通常の視点の高さよりも広くなることが明らかになった。B.視点変換により対人動作の変容:定型発達成人15名を対象として、視点を低く変換し、リアルタイムで目の前の人と握手する条件と、視点を低く変換した状態で録画された目の前の人と握手する条件で、握手時のリーチング動作がどのように変化するか、検討した。その結果、リアルタイム条件で、リーチングする動作がより高くなることが明らかになった。 ③発展的な研究2:米国フィラデルフィア小児病院・自閉症研究センター及びセイント・ジョゼフ大学・キニー自閉症教育・支援センターと共同で、対人接触を計測するウェアラブルデバイス、EnhancedTouchを用い、自閉スペクトラム症児の対人接触を自動フィードバックすることによって物理的対面が増加できるかについて、検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
物理的対面の機能的役割解析についての実験実施は順調であり、視点変換装置を利用した研究の実施や、米国との共同研究を開始するなど、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を効果的に進めるため、研究の主眼を前述の(1)物理的対面計測デバイス、(2)視点変換デバイス、(3)対人接触計測デバイスを用いた研究として明確に設定し、(4)視線推定技術の活用を加えた物理的対面の検討も開始する。また、工学者と研究の進捗状況を確認しながら研究を進めることによって、研究上の問題を解決する体制が整っている。なお、計画に遅れが生じた場合は,原因や問題点を共有し,協力研究者との討議により要因の解決を進めていく。
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