研究領域 | トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築―多文化をつなぐ顔と身体表現 |
研究課題/領域番号 |
18H04203
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
金谷 一朗 長崎県立大学, 情報システム学部, 教授 (50314555)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 工業デザイン / 顔・身体学 / 比較文化学 |
研究実績の概要 |
ミニマルな顔表現は世界各地で見られるデザインであり,かつヒューマノイドのような人に似せた人工物デザインの基本になるものである.しかしながら,ミニマルな顔表現およびその変化に対して,表現と感情との対応付けやその文化的差異を詳しく調べた研究は少なく,工業応用まで考慮したものは未だ見かけない.本研究は幾何学的に抽象化された顔,すなわち「左目」「右目」「口」に相当する図形要素3点からなる「ミニマルな顔表現」 および「ミニマルな顔表現の動き」と,それらの顔表現と感情との対応の文化的差異を明らかにすることを目的とし,人工物デザインへの応用までを考慮する. 本研究者らはすでに日本において予備的な調査を済ませているが,新たに日本並びに外国での再調査を行うため,(1)日本での再調査,(2)東アジアから1カ国の調査,(3)中東から1カ国の調査,(4)西欧から1カ国の調査拠点の形成を行った.具体的には,(1)京都市,(2)タイ,(3)エジプト,(4)デンマークならびにスウェーデンで調査拠点形成の準備を行った. 具体的な調査内容は(A)複数のミニマルな顔表現を提示し,被験者が感情を読み取る「静的ミニマル表現マッピング」,(B)ミニマルな顔表情の「動き」を提示し,被験者が感情の「動き」を読み取る「動的ミニマル顔表現マッピング」,(C)ミニマルな顔を被験者に描かせる「顔表現サンプリング」である.本調査を研究期間内に行い,統計処理および機械学習によってミニマル顔モデルの構築を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は大規模な海外サンプリング調査が必要になるが,従来から研究交流のあった海外の大学に加え,海外の科学アカデミーの協力も得ることが出来たため,当初予定よりもやや広く研究拠点を広げることが出来たため.
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今後の研究の推進方策 |
当該領域の研究計画である「トランスカルチャー状況下における顔身体学」の特に計画班研究「顔と身体表現の多文化比較フィールド実験研究」はとりわけ本研究と関連が深く,本研究が一層の研究推進に貢献できる分野である.具体的には,本研究提案が自然な顔ではなく抽象化されたミニマルな顔を対象とした多文化比較フィールド実験を行うことで,当該領域の研究対象を将来のヒューマノイドロボットデザインなど工業応用にまで広げることになるため,今後新たな連携を模索する.
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