研究領域 | トポロジーが紡ぐ物質科学のフロンティア |
研究課題/領域番号 |
18H04211
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石原 照也 東北大学, 理学研究科, 教授 (60168250)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フォトニック結晶 / バンド反転 / 光起電力 |
研究実績の概要 |
Silicon on Insulator (SOI)基板を購入し、電子線露光描画でパターニングし、高速原子線でエッチングして、ハニカム構造を作製した。ハニカム構造の六員環ユニットを拡大または縮小することにより、バンド端における電磁場モードの対称性が変わることを数値計算によって確認した。購入したInGaAsカメラと既存の顕微鏡対物レンズを用いて円偏光の向きに依存した導波路伝搬をイメージを測定するための光学系を構築した。
1次元誘電体積層構造のフォトニックバンド構造と電磁場分布を数値計算により調べた。周期に対する高誘電率層の厚さの比の関数としてフォトニックバンド状態をプロットすると、バンドギャップがいったんつぶれて再び開くこと、その前後においてバンド端状態の対称性が入れ替わることなど、トポロジカルに非自明な状態の特徴が表れることを見出した。
トポロジーの自明/非自明が異なる相境界を伝搬するエッジモードによる光整流起電力を測定することで、トポロジカルな状態を検出する方法について議論した。光整流起電力は第二高調波生成と同様に二次の非線形光学現象であり、波長に依存した応答を調べることで、工学スペクトル測定では得られないトポロジカルな特徴を実験的に調べることができ可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたSOI基板におけるハニカム構造の作製とその光学的評価は、担当の学生が不登校となってしまったため、途中で止まってしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
ハニカム構造のトポロジカル状態については、すでに多くの研究グループが研究を開始しており、今後担当学生が研究に復帰したとしても、世界に先駆けた結果を発表することはむつかしい。そこで本新学術領域研究における研究テーマを幾何学的位相に由来した2次の非線形光学効果にシフトさせ、この4月から修士に進学した学生に研究を遂行してもらうことにした。現在いくつかのデザインを考案し、実験を行うのに適当な構造パラメタを得るために数値計算を行っている。
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