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2018 年度 実績報告書

トポロジカルフェルミアーク:有限温度での特異な準粒子励起の研究

公募研究

研究領域トポロジーが紡ぐ物質科学のフロンティア
研究課題/領域番号 18H04228
研究機関国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

永井 佑紀  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究職 (20587026)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード非エルミート / トポロジー / 強相関電子系
研究実績の概要

強相関電子系などの準粒子に寿命のある系では、自己エネルギーと一粒子ハミルトニアンの和を「準粒子ハミルトニアン」とみなすことで、その系のトポロジーを議論することができる。特に、自己エネルギーは虚部を持つために、このハミルトニアンは非エルミートとなるため、これまでのエルミート系では起こらなかった新しい非エルミート性に起因する現象が生じると考えられた。本研究では、重い電子系の舞台となる近藤半導体に着目し、強い電子相関によって生じた自己エネルギーによって、エルミート行列では現れない例外点という構造が系のディラックコーンの近傍に生じることを示した。その際、周期的アンダーソン模型に対して動的平均場理論を用いて電子相関を正確に取り込み、その例外点の構造の温度依存性を明らかにした。そして、例外点の構造によって、バルクのゼロエネルギースペクトルに特徴的な構造「バルクフェルミアーク」が現れることを明らかにした。さらに、バルクフェルミアークの形状、すなわち、波数空間依存性やエネルギー依存性についての詳細を、数値計算と解析的計算の両面から調べている。現在論文投稿準備中である。
また、非エルミート性がそのほかの系にも現れることを調べるために、いくつかの別の系に対して同様の解析を行っており、現在進行中である。
これらの研究によって、新しい概念であるバルク系における非エルミートトポロジーでの新奇現象の解明と予言が進むと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、バルクフェルミアークを数値計算で得ることができた。さらに、バルクフェルミアークの形状、すなわち、波数空間依存性やエネルギー依存性についての詳細を、数値計算と解析的計算の両面から調べている。また、非エルミート性がそのほかの系にも現れることを調べるために、いくつかの別の系に対して同様の解析を行っており、現在進行中である。したがって、順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

現在解析を進めている近藤半導体の系の非エルミートトポロジーに関して数値的解析的に研究を進めると同時に、他の系において生じる非エルミート系特有の現象を探索する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] Massachusetts Institute of Technology(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Massachusetts Institute of Technology
  • [国際共同研究] University of Saskatchewan(カナダ)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      University of Saskatchewan
  • [雑誌論文] Quasiparticle Bound States around Fractional Vortices in s-wave Superconductor2019

    • 著者名/発表者名
      Nagai Yuki、Kato Yusuke
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 88 ページ: 054707~054707

    • DOI

      10.7566/JPSJ.88.054707

    • 査読あり
  • [学会発表] Bulk Fermi arcs in heavy fermion systems2018

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nagai, Y. Qi, Hiroki Isobe, V. Kozii, L. Fu
    • 学会等名
      International Workshop on Symmetry & Topology in condensed-matter physics
    • 国際学会
  • [学会発表] Bulk Topological Fermi arcs in heavy fermion systems2018

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nagai, Y. Qi, Hiroki Isobe, V. Kozii, L. Fu
    • 学会等名
      4th Conference on Condensed Matter Physics (CCMP 2018)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Bulk Fermi arcs in heavy fermion systems2018

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nagai, Y. Qi, Hiroki Isobe, V. Kozii, L. Fu
    • 学会等名
      New Trends in Topological Insulators (NTTI 2018) and 18th International Conference on Narrow Gap Systems (NGS-18)
    • 国際学会
  • [学会発表] Time-reversal and/or translational symmetry breaking in d-wave nano-superconductors2018

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nagai, Yukihiro Ota, Kaori Tanaka
    • 学会等名
      12th International Conference on Materials and Mechanisms of Superconductivity (M2S 2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] 重い電子系におけるバルクトポロジカルフェルミアーク2018

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nagai, Y. Qi, Hiroki Isobe, V. Kozii, L. Fu
    • 学会等名
      日本物理学会 2018 年秋季大会 (物性)
  • [学会発表] 重い電子系における例外点とバルクトポロジカルフェルミアーク2018

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nagai, Y. Qi, Hiroki Isobe, V. Kozii, L. Fu
    • 学会等名
      第 10 回トポロジー連携研究会「非平衡系・非エルミート系の新奇量子現象」
    • 招待講演
  • [学会発表] BdG 方程式を用いた磁束格子計算2018

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nagai
    • 学会等名
      第 26 回渦糸物理国内会議
  • [学会発表] Bulk topological Fermi arcs in heavy fermion systems2018

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nagai, Y. Qi, Hiroki Isobe, V. Kozii, L. Fu
    • 学会等名
      American Physical Society March Meeting 2019
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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