公募研究
本研究では、適切に設計された錯体触媒の光触媒作用を基盤に、高難度分子変換反応をめざした。本年度は、昨年度見出したフルオロアルカンスルフィン酸塩をフルオロアルキル源及びスルホン源とするアルケン類のフルオロアルキルースルホニル化をアルキン類の反応にも展開した。本反応によって医農薬品の構造モチーフとして価値のあるアルケニルスルホン骨格を簡便に構築できた。フルオロアルカンスルフィン酸塩は入手容易な試薬であり、様々なフルオロアルキル基を導入できることも本反応系の特徴である。また、九州大学矢崎亮先生のグループとの共同研究として、本反応系をフルオロアルキル基含有アミノ酸誘導体の合成へ適用した。さらに、適切に設計されたイミノピリジニウム塩に対して高い三重項エネルギーを有する錯体光触媒を作用すると、窒素ー窒素結合の切断と芳香環炭素ー水素結合の窒素官能基化を経て、フェナントリジンが得られることを見出した。本反応系の特徴として、単純な窒素ラジカル種による環化反応では得られない置換フェナントリジン類が位置選択的に得られた。これは、熱的なラジカル反応では達成できない位置選択性を光触媒的ラジカル反応系で実現できた点で非常に意義があると考えている。加えて、抗癌剤のtrisphaeridineの簡便なone-pot合成も可能だった。適切に設計されたピリジニウム塩の合成化学的な可能性を示した点でも重要な成果である。これらの成果を学会発表するとともに論文発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
Organic Letters
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http://www.res.titech.ac.jp/~smart/A_koike01.html