研究領域 | 高難度物質変換反応の開発を指向した精密制御反応場の創出 |
研究課題/領域番号 |
18H04257
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤原 哲晶 京都大学, 工学研究科, 准教授 (30374698)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | カルボン酸 / 配位子 / パラジウム触媒 / 炭素ー水素結合活性化反応 |
研究実績の概要 |
本申請課題では,周辺部を精密に修飾したカルボン酸の設計・合成とそれらを配位子として活用した高難度分子変換反応の開発,を目的として研究を進めている. パラジウム触媒を用いた C-H 結合活性化反応において,カルボキシラト配位子が作用する協奏的メタル化-脱プロトン化(Concerted Metalation-Deprotonation: CMD)機構が提唱されている.この反応においてカルボキシ基のα位に tert-ブチル基を有するピバル酸イオンを配位子として用いた際には酢酸イオンの場合と比較して反応活性が向上することが知られている.しかし,カルボン酸の立体環境が反応に与える影響を系統的に研究した報告例は少ない. 今回我々は,カルボキシラト配位子の役割について詳細に検討することにした.カルボキシラト配位子の立体がパラジウム触媒による C-H 結合活性化反応に与える影響を調べていく過程で,穏和な条件で進行する C-H 結合活性化反応を見いだした.パラジウム触媒による分子内C-H結合アリール化反応をモデル反応として選択し,1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン (DMI) 溶媒中,25度の条件において種々のカルボン酸を適用した.その結果,酢酸やピバル酸 の添加でも本反応条件では生成物は低収率に留まった.これに対し,カルボキシ基のα位にシクロヘキシルメチル基を導入したトリ(シクロヘキシルメチル)酢酸が高収率で生成物を与えることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に示したように,パラジウム触媒による分子内C-H結合アリール化反応において,カルボキシ基のα位にシクロヘキシルメチル基を導入したトリ(シクロヘキシルメチル)酢酸が高収率で生成物を与えることを明らかにすることが出来たため,本研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
概要に記載した分子内反応における研究成果を踏まえ,より高難度な分子間C-H結合活性化反応におけるカルボン酸の立体効果について詳細に検討する.分子内反応において最適であったカルボン酸配位子は分子間反応には適さないことが予備的検討によって.分子間反応と分子内反応における差異を詳細に解析し,分子間反応に適切なカルボン酸を設計合成し,反応に適用する.その結果を踏まえ,新たなカルボン酸設計・合成と評価を繰り返すことで,さらなる活性化能をもつカルボン酸の探索を進める.
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