公募研究
ビタミンB12は生体内の様々な酵素反応に関与し、特にラジカル反応に対し高い耐性を持つ天然の有機金属錯体である。なかでも中心金属のコバルトと軸配位子のアルキル基とのコバルト-炭素結合(Co-C)の生成機構、およびそのホモリシス開裂により生じるアルキルラジカルの生成は、生物無機化学、有機金属化学、触媒化学の観点から興味深い。昨年度までに天然のビタミンB12を誘導体化したコバルト錯体を利用した有機化合物へのトリフルオロメチル化、パーフルオロアルキル化、ジフルオロアルキル化反応を報告した。今年度は、本系の拡張を目的として、ビタミンB12誘導体と同様の電気化学的挙動を示すことが知られるimine/oxime-typeコバルト錯体(C1)に着目し、これを触媒とした有機化合物へのフルオロアルキル化反応を検討した。具体的には、錯体(C1)を触媒として、電極表面を反応場とした触媒反応系の構築、およびインドールやアニリン誘導体に対するフルオロアルキル化反応を実施した。1mol%の錯体 (C1)を触媒として用い、インドールとアニリン誘導体のパーフルオロアルキル化反応を行った。電解セルとしては1液型のものを使用し、動作極に白金網、対極に亜鉛を用い -0.80 V vs. Ag/AgClの条件で定電位電解反応を行った。基質には種々のアレーン類を添加し、フルオロアルキル源(n-C4F9I)をシリンジポンプで注入して触媒反応を行った。生成物はNMRおよび単結晶X線構造解析により同定し、GC-MSおよびNMRにより収率を算出した。種々の条件を検討し、効率的なフルオロアルキル化反応を達成した。ラジカルトラップ実験により、コバルト錯体のラジカル発生能を介した触媒反応であることが示唆された。コバルト-炭素結合(Co-C)を利用したフルオロアルキル化反応は新しいタイプの触媒系であり、非常に興味深い。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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