研究領域 | 高難度物質変換反応の開発を指向した精密制御反応場の創出 |
研究課題/領域番号 |
18H04267
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲也 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (40273586)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | カルボン酸 / ロジウム触媒 / C-H活性化 / 脱炭酸 |
研究実績の概要 |
芳香族カルボン酸、ならびにα,β-不飽和カルボン酸類は、化学的に安定で取り扱いやすく、また入手容易であるため、パイ共役分子合成における重要なビルディングブロックとなっている。これらの分子中に含まれるカルボキシル基は、遷移金属触媒の金属中心に適度に配位するため、配向基として機能し、近傍の炭素―水素結合を直接誘導体化することが可能となる。例えば我々は、ペンタメチルシクロペンタジエニルロジウム触媒および銅塩を酸化剤として用い、メタクリル酸類をアルケンとともに反応させると、カルボキシル基のロジウム中心への配位を鍵としてβ位の炭素―水素結合が切断され、β-アルケニル化生成物を与えることを報告している。 本研究の初年度にあたる平成30年度には、同様のロジウム触媒を用いる条件で、α-トリフルオロメチルアクリル酸とアルケンの反応を行なったところ、脱炭酸を伴って酸化的カップリングが進行し、トリフルオロメチル基を有するジエン誘導体が選択的に得られることを見出した。またα-トリフルオロメチルアクリル酸とアリールボロン酸との新規カップリング反応の開発にも成功し、様々な構造を有するβ-アリール-α-トリフルオロメチルプロピオン酸を得た。 また熱反応だけでなく、光駆動型反応についても検討を行い、セリウム触媒を用いる条件で、フェニル酢酸をはじめとするカルボン酸類を空気雰囲気、青色LED照射下で反応させると、脱炭酸を伴う酸素化が円滑に起こり、カルボニル化合物へと変換できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カルボキシル基の配位を鍵とする、カルボン酸類の新規触媒的変換法の開発を順調に進めている。今後、反応系にさらなる改良を加え、より高度で高効率な分子変換法へと発展させる。
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今後の研究の推進方策 |
このまま継続して、種々のカルボン酸の新規誘導体化法の開発を進める。着手した光駆動型反応も駆使して、脱炭酸プロセスを制御した触媒的変換を発展させる。
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