公募研究
本研究では、超高真空中で動作するナノスケールかつサブサイクルの時間分解能を持つテラヘルツ走査型トンネル分光(THz-STM)技術を開発する。単一トンネル接合において、所望のTHz近接場を創り出しその場で観測する処方箋を構築し、トンネル電子を自在に量子操作する近接場分光技術を確立することを目指す。初年度に開発した超高真空THz-STMは、光の回折限界を打破し、ナノ~原子スケールで電子を高速操作することを可能にした。一方、中赤外(MIR)パルスとSTMを融合させることができれば、時間分解能を大幅に改善することができ、かつ中赤外領域特有の分子内振動や格子振動・電荷移動などの諸現象を原子レベルでその場観察し操作することが可能となる。そこで、MIR-STMの開発に着手した。optical parametric chirp pulse amplifier(OPCPA)から出力されたパルス幅8.2 fs、繰り返し4 MHz、平均出力4.3 W、中心波長 850 nmの近赤外パルスとGaSe結晶におけるタイプI位相整合による光整流を用いることで、中心周波数27.5 THz、パルス幅31 fs、電場尖頭値190 kV/cmの中赤外パルス発生をCEP揺らぎ56 mrad(5.6時間)の安定性を達成することができ、MIR-STM開発の素地を作ることができた。更に、電子操作だけではなく、電子よりもはるかに重いイオンをTHzパルスにより動かすことに挑戦した。二次電池材料として使われるなどイオンが動きやすいことで知られる超イオン伝導体を研究対象として、THzパルスによりイオンの流れを電流として計測することに成功した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
Phys. Rev. Lett.
巻: 124 ページ: 147401
10.1103/PhysRevLett.124.147401
Optics Letters
巻: 44 ページ: 5350~5350
10.1364/OL.44.005350
Physical Review B
巻: 100 ページ: 115145
10.1103/PhysRevB.100.115145
http://www.ultrafast.ynu.ac.jp