研究領域 | なぜ宇宙は加速するのか? - 徹底的究明と将来への挑戦 - |
研究課題/領域番号 |
18H04334
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
千葉 柾司 東北大学, 理学研究科, 教授 (50217246)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 暗黒物質 / 銀河形成 |
研究実績の概要 |
宇宙の物質密度の大半を占める暗黒物質の正体は何か。この問題を解明することは現代物理学において大変重要な課題のひとつになっている。実際の宇宙に見られる大規模構造は、冷たい暗黒物質とよばれる素粒子によって説明可能であることが知られていて、宇宙の暗黒物質に関する標準理論になっている。しかし、銀河系や衛星銀河の空間スケールをみると、冷たい暗黒物質の理論予言と矛盾する観測事実が報告されており混沌とした状況にある。 この問題の鍵は、銀河系やその衛星銀河などの近傍銀河の理解であり、特に、1.矮小銀河の真の数分布の決定、2.矮小銀河にある暗黒物質の分布の決定、のために、系統的な観測とその理論解析が重要になる。 本研究では、1.の問題、すなわちミッシングサテライト問題に対して知見を得るために、現在進行中のすばる望遠鏡の超広視野カメラを用いた観測データを用いて、系統的に衛星銀河の探査を進めてきた。そして、これまで新しい衛星銀河を3個発見し、2編の学術論文として発表し、3編目の論文は投稿中である。また、これまでの衛星銀河の発見率が冷たい暗黒物質の予言と大きく矛盾しないことが分かってきた。 2.の研究テーマに対して、銀河系の各衛星矮小銀河の測光データを解析し、各銀河の空間構造を導出した。そして、この測光データをもとにして将来の多天体分光観測の計画を立案した。特に、どのような観測情報から暗黒物質の正体に迫れるか検討を行った。これらの成果に基づいて、今後の分光観測を中心とした研究を推進したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すばる望遠鏡の超広視野カメラを使った観測サーベイが継続しており、このデータを用いた銀河系衛星銀河探査を進めているが、期待通りのペースで新しい衛星銀河を発見できている。また、既知の銀河系衛星銀河の系統的な撮像とその解析もかなりよく進んでいる。さらに、新しく発見した衛星銀河の分光観測も進めており、概して順調に進展していると自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果に基づき、引き続き以下の研究を推進する。 1.銀河系における未発見衛星銀河の探査: すばる望遠鏡に装着されている超広視野カメラを用いたサーベイ観測に基づいて、新しい矮小楕円体銀河を発見する。特に、銀河系ハローの外側にあり暗い矮小銀河を探査していく。 2.矮小楕円体銀河における大域的な星形成史と暗黒物質構造との関連: 銀河系にある矮小楕円体銀河は、暗黒物質の正体を決定する上で最も重要な天体であり、さらに銀河系のような明るい銀河の階層的形成に密接に関係しているので、個々の矮小楕円体銀河の星形成史と化学動力学構造を導くことが大変重要である。しかし、これまでの測光・分光観測に基づく研究では、概して各銀河の内側部分のみ注目されており、もっと大きく広がった空間領域の各矮小楕円体銀河の撮像・分光を行う必要がある。撮像については一通り実施してきたので、今後は新しく発見した銀河の分光観測はもとより、既に知られている矮小楕円体銀河の系統的な分光観測とその解析について検討する。さらに、暗黒物質を含めた化学動力学進化の理論モデルを構築して調べる。
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