• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

Vlasovシミュレーションで迫るニュートリノの宇宙大規模構造形成への力学的影響

公募研究

研究領域なぜ宇宙は加速するのか? - 徹底的究明と将来への挑戦 -
研究課題/領域番号 18H04336
研究機関筑波大学

研究代表者

吉川 耕司  筑波大学, 計算科学研究センター, 講師 (70451672)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード宇宙大規模構造 / ニュートリノ
研究実績の概要

2018年度には、様々な質量を持つニュートリノが宇宙大規模構造形成に及ぼす力学的影響を調べる数値シミュレーションを実施した。それぞれのニュートリノ質量について、複数のシミュレーション領域サイズで数値シミュレーションを行うことで、分解能の収束性を確認しつつ広いダイナミックレンジにわたってニュートリノの力学的影響を調査することを可能にした。
宇宙大規模構造の密度揺らぎのパワースペクトルのニュートリノ質量依存性を調べ、ニュートリノによる密度揺らぎの減衰が線形領域では摂動理論の予言と一致することを確認する一方、非線形領域では摂動理論から有意にずれることを確認した。
また、ダークマターハローの質量関数のニュートリノ質量依存性を調べニュートリノ質量が大きいほどダークマターハローの数密度が下がることを確認した。さらに、過去の質量を持つニュートリノの存在かでの球対称崩壊モデルをもとにした質量関数の理論モデルと比較し、この理論モデルと我々の数値シミュレーションの結果が良く一致することを見出した。更に、ダークマターとニュートリノの密度揺らぎの相互相関関数をダークマターとニュートリノの相対速度依存性を含む形で調べることで、我々の数値シミュレーションではダークマターの高密度領域の下流側にニュートリノの高密度領域が形成されていることを発見し、これは理論的なモデルで予言されたneutrino wakeと良く一致することがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

多くの計算機資源を獲得することが出来たおかげで、複数のシミュレーション領域サイズと複数のニュートリノ質量について、当初の計画通りに宇宙大規模構造の数値シミュレーションの実施を達成することができた。

得られたデータの解析については本研究課題の直接経費で購入したストレージを用いて効率的に実行することができ、シミュレーションデータからこれまでにない新しい知見を得ることが出来た。

今後の研究の推進方策

今後の研究方針は、一つはこれまでの研究よりも軽いニュートリノを考えたときに、それが宇宙大規模構造形成に及ぼす影響を調べることである。このようなニュートリノでは質量固有状態ごとに質量が異なっており、ニュートリノを質量ごとに少なくとも2種類の成分として扱う必要がある。そのような数値シミュレーションを行うことによって、素粒子実験では明らかになっていないニュートリノの質量階層の違いによる宇宙大規模構造形成に対する力学的影響を調べることが可能になる。

二つ目はダークマターハローの分布と内部構造に対するニュートリノの力学的影響をより空間分解能を上げた数値シミュレーションによって調べることである。これまでの数値シミュレーションよりもダークマターの数値シミュレーションの空間分解能を向上させ、これまでよりも非線形領域におけるニュートリノの力学的影響を研究する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] ニュートリノによる宇宙大規模構造への 力学的影響2018

    • 著者名/発表者名
      吉川耕司
    • 学会等名
      日本天文学会 2018年秋季年会
  • [学会発表] Vlasov simulations of collisionless self-gravitating systems and astrophysical plasmas2018

    • 著者名/発表者名
      Kohji Yoshikawa
    • 学会等名
      CCS international symposium
    • 国際学会
  • [学会発表] Higher-order Vlasov-Poisson Simulation for Large-Scale Simulation with Massive Neutrino2018

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Tanaka
    • 学会等名
      XXX IUPAP Conference on Computational Physics 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] ブラソフ方程式の高精度数値解法2018

    • 著者名/発表者名
      田中 賢
    • 学会等名
      平成30年度 名古屋大学宇宙地球環境研究所および国立極地研究所 共同研究集会 STEシミュレーション研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Vlasovシミュレーションによる宇宙大規模構造形成におけるニュートリノ影響2018

    • 著者名/発表者名
      田中賢
    • 学会等名
      国立天文台 天文シミュレーションプロジェクト ユーザーズミーティング
  • [学会発表] Vlasov-Poisson simulation of cosmic neutrinos in the large-scale structure formation2018

    • 著者名/発表者名
      Kohji Yoshikawa
    • 学会等名
      The 8th East Asian Numerical Astrophysics Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Numerical simulation of cosmic relic neutrinos in the large-scale structure formation2018

    • 著者名/発表者名
      Kohji Yoshikawa
    • 学会等名
      新学術「加速宇宙」シンポジウム
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi