公募研究
暗黒エネルギー、暗黒物質は現代物理学の最大級の謎である。これらの起源は弱結合する素粒子群である可能性がある。南部・ゴールドストーンらは自発的対称性の破れ(SSB)に伴う零質量のボゾン (NGB)の存在を予見した。ヒッグス機構は、SSBを拡張した模型であり、同機構が検証されつつある現在、SSBの主導原理を多様な対称性に適用することは正統な潮流である。NGBは様々な力学要因により、実世界では厳密に零質量とはならず擬NGB(pNGB)化するため、SSB原理に基づく非常に軽いpNGBを広い質量域で一般的に探索することは極めて重要である。そこで2光子に結合するpNGBに着眼し、複数の極短パルスレーザー光を真空下で集光衝突させ、軽いpNGBの共鳴を介する誘導散乱現象(真空内四光波混合)を探索する。本研究では、軽い場の共鳴を介するω1+ω2→共鳴→ω3+ω4という光子・光子散乱過程に着眼する。これまで、真空下でω=ω1=ω2を満たす単一レーザー集光による準平行光子・光子衝突系(QPS)において、ω4の混合集光により散乱の終状態を誘導する探索を実施してきた(生成光が縮退した四光波混合に相当。ω3=2ω-ω4の光子が探索すべき信号)。QPSは1eV未満のsub-eV質量域全体に感度を有するが、正面衝突系(HCS)と比較すると、ルミノシティー因子が減少するため、より低質量域の暗黒場探索には、より高強度のレーザーを必要とする。一方、HCSでは1eVを超える質量域に感度が増大し、かつ、ルミノシティー因子の増大により比較的低強度のレーザーを用いても結合に関してQPSと同程度以上の感度を見込める。2018年度は、QPSにおける背景光の定量化、及び、HCSにおける背景光の分離について研究した。これらの結果は、レーザー学会及び日本物理学会にて報告した。
2: おおむね順調に進展している
QPS及びHCSにおける準備研究を並行して推進できた。
QPSにおける探索結果について、論文執筆を進めるのと並行して、HCSにおける初の予備探索結果を得る。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
Soryushiron Kenkyu
巻: 28-3 ページ: 30-34
Proceedings of the PHOTON-2017 Conference
巻: 1 ページ: 263-267
10.23727/CERN-Proceedings-2018-001.263
素粒子論研究・電子版
巻: 28-1 ページ: 1-4
http://home.hiroshima-u.ac.jp/spphrs/