研究領域 | なぜ宇宙は加速するのか? - 徹底的究明と将来への挑戦 - |
研究課題/領域番号 |
18H04355
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
小林 努 立教大学, 理学部, 准教授 (40580212)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 宇宙論 / 修正重力理論 |
研究実績の概要 |
一般的なスカラー・テンソル理論では、スカラー場の微分と曲率テンソルの結合によって自発的に非等方膨張するような宇宙論解が存在することを示し、そのダイナミクスを調べた。ベクトル自由度を導入せずにスカラー自由度のみで非等方膨張アトラクターを実現した本研究は、世界でも初の試みと言える。 ダイナミクスを持たないスカラー場理論として知られているCuscuton理論を拡張し、同様の性質を持つ2自由度スカラー・テンソル理論を系統的に構築した。もともとのCuscuton理論を安定なバウンス宇宙モデルの構築に利用する先行研究が存在するが、同様の解析を拡張されたCuscuton理論でもおこなうべく、まずはその準備として、宇宙論解が摂動的に安定であるための条件を導出した。さらに、最新の重力波観測とも整合的な拡張されたCuscuton理論のサブクラスを同定した。 ホルンデスキ理論における特異点のない宇宙禁止定理を開いた宇宙に拡張することを目的として、空間曲率をもった宇宙における線形摂動の一般論を構築した。線形摂動に対し安定であるための条件を導出し、それを用いて、特異点のない宇宙禁止定理を開いた宇宙に拡張することができた。また、いくつかの具体的なモデルに対し、原始ゆらぎのパワースペクトルを評価した。本研究は、きわめて一般的な状況に適用可能な結果であるため、特異点のない宇宙といった特定の状況設定から離れても有用である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究課題と密接に関連する論文を3本、間接的には関係する論文を(投稿中のものも含め)5本以上執筆したため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き計画通りに進めていく。まずは2018年度に構築した拡張されたCuscuton理論を宇宙論に応用する。
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