本研究は「原始ブラックホール」に焦点を当て、ボトムアップ的アプローチでインフレーション理論に迫ることを目的とする。平成31年(令和元年)度は、昨年度の研究実績報告書にも記載したが、査読段階であった「重力レンズ効果を用いた系外惑星探査データの原始ブラックホール量制限への応用」に関する論文をPhysical Review D誌で発表、またそれと関連するインフレーション模型に関する研究についてもPhysical Review D誌で発表した。 さらに交付申請書の「平成31年度計画」に記載した「原始ブラックホールの空間分布」に関する研究を進め、原始ブラックホールの種となる初期密度揺らぎがガウス分布からずれることで原始ブラックホールがクラスタリングする可能性を示した論文を2編発表した。非ガウス性の影響は空間分布だけでなく、生成量にも影響を与えるが、その影響を精査した論文も1編発表した。また、原始ブラックホールの種となる初期密度揺らぎのパワースペクトルが広がりを持っている場合に有用な評価法を提唱、論文としてまとめた。以上形成過程のみならず、観測的検証の派生的研究として、原始ブラックホール存在量の観測的制限を用いて、原始磁場の存在に制限を与えた。論文としてまとめ、2020年4月現在査読中である。 以上の研究成果は、論文としてのみならず、国内外の研究会でも発表、そのうち2件は招待講演である。
|