研究領域 | なぜ宇宙は加速するのか? - 徹底的究明と将来への挑戦 - |
研究課題/領域番号 |
18H04358
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
白崎 正人 国立天文台, 理論研究部, 特任助教 (70767821)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 重力レンズ / シミュレーション / 宇宙大規模構造 |
研究実績の概要 |
第1年度は、本研究の根幹をなす研究手法を確立するために、数値シミュレーションとすばる望遠鏡による実観測データを組み合わせた研究を行なった。本研究の目標を達成するには、数値シミュレーションから得られる宇宙大規模構造のデータを、観測と比較可能なレベルに整備する方法論が必要であった。我々は、すばる望遠鏡戦略枠プログラム「Hyper Suprime Cam (HSC) Survey」による銀河撮像データを、数値シミュレーションを適切に使い模擬する手法を確立した。作成したHSC模擬データは、2268のリアライゼーションを持ち、HSCによる統計解析において必要不可欠な統計誤差の評価、パイプラインの検証などに用いられる。この成果は、"Mock galaxy shape catalogs in the Subaru Hyper Suprime-Cam Survey"という題で、イギリスの学術誌 Monthly Notices of the Royal Astronomical Societyに掲載することが決定している。 加えて、HSCの観測データで得られる宇宙の物質分布地図の作成に関する新たな解析手法を開発した。この手法は、機械学習による画像解析手法の一つであるGenerative Adversarial Networkを活用し、この新手法を用いると、数値シミュレーションによるモデルと観測データの比較を容易にし、雑音の影響を大きく減少させることができることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を進めるために必要な解析パイプラインは概ね1年目で完成することができた。このパイプラインを、異なる物理モデルでの数値シミュレーションに適応することは比較的容易であり、2年目に終えられる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に開発したHSC模擬観測パイプラインを、複数の宇宙モデルでの数値シミュレーションに適応する。得られる結果と、実際のHSCによる観測データを突きあわせることで、実際の宇宙に一番よく対応する宇宙モデルを特定する。利用する予定の観測データはすでに取得されているので、追加で必要なプロセスとしては、複数の宇宙モデルでの数値シミュレーションを行うだけである。
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