研究領域 | 核-マントルの相互作用と共進化~統合的地球深部科学の創成~ |
研究課題/領域番号 |
18H04370
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
東 真太郎 九州大学, 理学研究院, 特別研究員(PD) (60771293)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 回転式ダイヤモンドアンビル装置 / ブリッジマナイト / フェロペリクレース / 変形実験 / 超高圧 |
研究実績の概要 |
本研究の課題として、ブリッジマナイトとフェロペリクレースの超高圧高温下における大ひずみ変形微細組織を明らかにすることと、力学データ(応力-歪曲線)を取得することが挙げられる。 今年度は回転式ダイヤモンドアンビル装置(回転式DAC)に真空チャンバーを導入したことによる高温実験(<~1000K)、そしてX線その場観察によって応力データを取得することが可能になったため、これまで行えなかったブリッジマナイトとフェロペリクレースの大ひずみ高温高圧変形実験が可能になった。実際にブリッジマナイトとフェロペリクレースの高温高圧変形実験(P=49 GPa, T= 723 K)をSPring-8において試験的に行い、応力データを取得することができた。この応力データによると、先行研究と同様にブリッジマナイトがフェロペリクレースに比べて非常に強度が高いことが示された。しかし、歪が大きくなるにつれて、ブリッジマナイトの応力のみが減少する傾向が見られた。これは変形が進むにつれて、フェロペリクレースがネットワークを形成することで、全体の強度を支え、ブリッジマナイト中の応力がフェロペリクレースに近づいている可能性がある。室温、超高圧(~26-85 GPa)で行われた変形実験の微細組織を観察しても、弱相であるフェロペリクレースの連結度は歪の大きさに比例する傾向が見出された。これらの結果は、ブリッジマナイトと比較しフェロペリクレース(~30vol%)が十分に弱く、全体の系の力学特性を支配する可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定である、ブリッジマナイトとフェロペリクレースの大ひずみ変形微細組織を観察するための変形実験を完了することができ、解析についても概ね順調である。 さらに回転式ダイヤモンドアンビル装置(回転式DAC)に真空チャンバーを導入したことによる高温実験(<~1000K)、そしてX線その場観察によって応力データを取得することが可能になったため、これまで行えなかったブリッジマナイトとフェロペリクレースの大ひずみ高温高圧変形実験が可能になった。実際にブリッジマナイトとフェロペリクレースの高温高圧変形実験(P=49 GPa, T= 723 K)をSPring-8において応力データを取得することができた。これは2年目に行う予定である実験に必要な進展であり、計画通り順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
回転式DACを用いた超高圧高温での大ひずみ変形実験とその変形実験中の力学データの取得が可能になったため、今後はブリッジマナイトとフェロペリクレースの強度の圧力、温度、歪速度の依存性を系統的に調べる予定である。応力データが取得可能になったことにより、Feのスピン転移による強度への影響も同時に考察する予定である。
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