研究領域 | 反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製 |
研究課題/領域番号 |
18H04376
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝紀 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70202132)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中分子 / 酸化還元 / ヘテロ環 / 近赤外吸収 |
研究実績の概要 |
有機酸化還元系は、生体電子伝達系への関与(除草剤パラコート)やDNAインターカレーション能(アントラキノン系抗がん剤)などの特性により、医農薬分野で活躍する生物機能分子として高いポテンシャルを持つ化合物群である。π電子系化合物を利用した分子創薬に於いては、新規な低分子酸化還元系分子骨格の開発ばかりでなく、その骨格の連結(中分子化)による酸化還元機能/生物活性の調節と複合化が有効なアプローチであると考えた。このような複数サイトの連結型中分子は、電子授受以外の外部刺激(溶媒極性、光照射)によっても分子特性の変調が可能なため、モノマーには無い特異な制御性を持つ。また、ドナーとアクセプターの組み合わせなど、電子的特性が大きく異なる骨格の連結では、中分子内電荷移動/電子移動を通して新たな生物機能が期待できる。 本年度は、上記の研究目的にそった検討を進める一方、合わせて、京都大学 大野浩章教授とインドロカルバゾール類の合成と特性開発について、また、信州大学 大神田淳子教授とヘテロ縮環型キノンの生理活性について、京都大学 永木愛一郎准教授とのフローリアクターによる非対称ジオール合成について、それぞれ領域内共同研究を行い、それらについて共著論文発表を行った。さらに、アクセプターであるパーフルオロフェニル基を持つある種のジカチオンが、電荷移動的な近赤外吸収体を持つために、生体内での酸化還元応答や光化学療法へ利用できると考え、初期の計画と合わせ、近赤外の吸収体を持つ色素を利用したin vitroおよび in vivoでの検討を共同研究により行った。有機エレクトロクロミズム系とナノカプセルに共存する近赤外発光性ポリマーとのFRETを鍵としたセンシングは前例のないものであり、今後殺ガン細胞特性への展開が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、領域内の多くのグループとの共同研究を進め、その成果をより多くの論文発表という形にする。
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