研究領域 | 反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製 |
研究課題/領域番号 |
18H04386
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
細谷 孝充 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60273124)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 有機化学 / ケミカルバイオロジー / 分子プローブ / アジド / 中分子 |
研究実績の概要 |
中分子領域の化合物群は、標的タンパク質に対してnMレベルで高選択的に作用するものも多く、とくに、タンパク質-タンパク質間相互作用の阻害剤などが多数見いだされてきた。しかし、中分子の魅力的な活性にもかかわらず、生物活性中分子を用いる生命有機化学は小分子を扱う研究と同じアプローチで行われてきたため、所望の中分子を供給するためには多大な労力・時間を要する。これに対して本研究では、アジド化学に基づく分子連結を基盤として、複雑な構造の中分子を用いる生命有機化学研究を大きく加速させる手法の創出を目指している。具体的には、区別して利用できる連結部位を組み込んだプラットフォーム分子の開発と、これを用いた逐次分子連結反応の開発に取り組み、多成分を集積した中分子化合物群の簡便合成法を開発してきた。本年度は、主に、以下の2つのテーマに取り組んだ。まず、(1)アジド基を連結部位として利用する新たな形式での反応の開発に取り組み、種々の検討を行ったところ、かさ高く電子豊富なAmphosを作用させると、安定なホスファジドを形成し、クリック反応性を抑制できることを見いだした。さらに、得られたホスファジドに対して単体硫黄を作用させると、アジドを再生できることも明らかにした。また、(2)環状アルキンと迅速に反応し、かつアジド基と区別して利用できる新たな連結部位の開発について検討した。その結果、オキサジアジノン類が環状アルキン類と高い反応性を示し、環状アルキンを適切に選択することで、アジドと区別して利用できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
逐次連結によって中分子領域の化合物を効率的に合成できる手法の開発に取り組む中、期待通りの成果に加え、アジド基の保護法やオキサジアジノンを用いた逐次連結による二重縮環ベンゼン類の新規合成法などの開発に成功したことから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、中分子生物活性化合物の発見に資する化合物ライブラリー構築を積極的に行い、広く共用する。さらに、開発した逐次連結法に関して、適用範囲を明らかにするとともに、その有用性を示す。
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