公募研究
本研究では、非活性な中分子RNAを細胞内に導入することで活性のある高分子siRNAを作り出す、細胞内ビルドアップ法を開発することを目指した。このように巧みにsiRNA前駆体を設計することにより、RNA干渉で問題となるsiRNA分子の膜透過性や免疫応答の問題を回避できると期待した。今年度は環状RNAを前駆体として用いることで、細胞膜透過性を向上させることを目指した。光切断ユニットあるいはジスルフィド構造を組み込んだ環状RNAを合成し、その活性評価を行った。前者では光照射依存的に、後者は細胞内GSHによって直鎖siRNAに変換され、天然型のsiRNAに匹敵するRNA干渉効果を示した。また、細胞膜透過性の向上も確認され、本手法の有用性を実証できた。
2: おおむね順調に進展している
環状RNA前駆体を用いて期待する利点を確認することができたため。
今年度の成果を踏まえ、様々な外部刺激に応答する環状RNA前駆体を検討する。また断片型RNA前駆体を用いたビルドアップの系においては、天然に近い構造を与える連結反応を活用し、より活性に優れた手法の開発にも取り組む。
すべて 2019 2018
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Angewandte Chemie International Edition
巻: 58 ページ: 6611~6615
10.1002/anie.201900993