研究領域 | 反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製 |
研究課題/領域番号 |
18H04406
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高須 清誠 京都大学, 薬学研究科, 教授 (10302168)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中分子 / ひずみ化合物 / 連続反応 / フロー合成 / 生物活性 |
研究実績の概要 |
生物活性ステロイドならびにテルペンの創製研究:独自に開発した触媒的多連続反応や環化付加反応を利用し、特異な活性を示す生物活性天然物(メレオリド,チュビンゲンシンB,チロホリンなど)の合成に成功した。骨格合成には多成分反応やフロー合成、ワンポット反応が有効であることを明らかにすることができた。また、それらの生物活性を評価し、特にメレオリド類縁体については天然物と異なる興味深い植物成長活性を示すことを発見した。また、チロホリン誘導体を用いる抗体-医薬複合体の合成に取組み、稀少癌の有望治療薬の開発を目指している。 新規有機材料の創製研究:新たにエノラート-アルケンメタセシス反応を開発し、それを牙とすることで物質生産性を向上することに成功した。また、光フロー反応も利用し、中分子合成に利用価値が高いことを明らかにした。連続反応によるグラフェンナノリボンやヘリセンをはじめとする新奇多感性芳香族炭化水素の合成法を確立した。これらの構造をモチーフとした中分子化合物に拡張することに成功し、状態により色調や蛍光の変化する分子素子を開発し、そのメカニズム解明について検討中である・ イナミドを利用したアルカロイド骨格の合成:分子内にイナミドと求核性複素環を有する基質に酸触媒を添加することで、種々の骨格を有する複素環の合成に成功した。特に、触媒を変えることで多様な分子骨格を合成できることがわかり、中分子の多様性指向型合成に利用するための基盤を構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時に計画した方法で目的の中分子を合成することが困難であることを理解した。その結果、異なる手法で合成検討をすることとした。一方、申請書では第一の目的とは書かなかった副次的な目標については順調に成果が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画で主目的としていたトリテルペン・ガノシネンス酸の合成は、モデル反応で成功した手法が利用できないことを明らかにした。合成目標とする天然物について代替のものを選択し、中分子合成の手法確立について迫ることとした。
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