公募研究
これまでバナジウム金属触媒、酸塩基型有機分子触媒、及び金属・有機分子ハイブリッド触媒等の多機能不斉触媒の開発に成功している。これら触媒を活用することで、光学活性オキサヘリセンや連続キラル四置換炭素を含む複素環、軸性キラリティーを有するアルカロイドなど、ラセミ体として得るのも困難な複雑化合物の短工程合成を可能としている。これら反応を効率的に促進するには、触媒を構成する複数の活性化部位による反応基質の多点配向制御が重要であり、酵素的作用機序を持つ不斉触媒としての知見も数多く得ている。本研究では、多機能触媒が促進する連続反応を集積化し、バッチ法では合成が困難な多置換・多官能性キラル骨格の触媒的かつエナンチオ選択的構築法を開拓を目指した。複雑な多成分連結反応をマイクロフロー合成に組み込むことで、生物活性天然物や医薬原料の供給に有効な実用的不斉分子変換法の確立を目指した。本年度は、フロー合成を用いた有機分子触媒によるエナンチオ選択的なドミノ反応の開発を行った。反応開発では、網羅的なスクリーニングや試行錯誤が必要とされ、膨大な時間やコストがかかることから迅速な最適化手法の開発が強く望まれている。特にフロー合成では、流速、管径、管長等、最適化すべき要素が増えるため、複雑な化合物を合成する「精密フロー合成」は困難とされていた。今回、機械学習法の1つであるガウス過程回帰法を新規反応開発の反応条件探索に活用することで、従来法に比べ大幅に少ない実験数で精密フロー合成の条件最適化に成功した。バリン由来のレアメタルフリー触媒を用いることで、わずか30秒で、複数の不斉中心を有する複素環化合物が原子効率100%(廃棄物ゼロ)で得られた。本研究は、世界初の機械学習法を活用した精密フロー合成および有機分子触媒による不斉反応プロセスである。この研究により、ファインケミカル類の開発研究の効率化が期待される。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 16件) 備考 (3件)
Chemical Communications
巻: 56 ページ: 1259~1262
10.1039/c9cc08526b
Advanced Synthesis & Catalysis
巻: 362 ページ: 1537~1547
10.1002/adsc.202000044
Chemical and Pharmaceutical Bulletin
巻: 68 ページ: 299~315
10.1248/cpb.c19-00900
Chemistry - A European Journal
巻: 25 ページ: 9866~9869
10.1002/chem.201902242
The Journal of Organic Chemistry
巻: 84 ページ: 1580~1587
10.1021/acs.joc.8b02494
http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/soc/socmain.html
https://scholar.google.co.jp/citations?hl=ja&user=Ern4ObsAAAAJ
https://researchmap.jp/read0068650