研究領域 | 反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製 |
研究課題/領域番号 |
18H04428
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山口 潤一郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00529026)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マルチアリール化 / インドール / イソキノリン / [4+2]付加環化反応 / カップリング反応 |
研究実績の概要 |
マルチアリール芳香族化合物は,光電子機能性材料や生体機能性材料に頻出する最重要骨格である。しかしながら、多数の置換基を導入する多置換ヘテロ芳香環合成に関しては未だ効率的な手法は限られ、特に3つ以上の異なる官能基を効率的に導入する手法は限られている。我々は今までに、5員環ヘテロ芳香族化合物のカップリング反応と環変換反応を利用した、マルチアリール芳香族化合物のプログラム合成法を確立している。本合成法により、望みのアリール基の芳香環への自在な導入が可能となり、全ての芳香族置換基の異なるヘキサアリールベンゼン(HAB)やオクタアリールアントラセン(OAN)の合成に成功した。 本研究では、独自に開発した多アリール置換インドール合成法をヘテロ中分子の高効率合成に展開する。すなわち、容易に調製可能なイナミド中間体の逆電子要請型分子内[4+2]付加環化反応を駆使して、多置換ベンゾへテロール化合物並びに生物活性分子を合成しうる多置換インドール化合物合成法を開発する。 今回、この合成戦略を基盤としたヘテロ芳香族化合物合成に最適化し、ヘプタアリールインドール(HAI)・イソキノリン(HAiQ)の合成を達成した。多アリール置換チオフェンと分子内アルキンの逆電子要請型[4+2]付加環化反応によって、高度にアリール化されたインドール・イソキノリンを合成可能となった。さらなるカップリング反応によって、すべての芳香族置換基の異なるヘプタアリールインドール(HAI)とヘプタアリールイソキノリン(HAiQ)の合成を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多アリールヘテロ芳香環中分子の合成、すなわちヘプタアリールインドール(HAI)・イソキノリン(HAiQ)の合成に成功した。1つのお目的としていたヘプタアリールチオフェン(HAT)には至っていないが、方法論の確立を各反応の最適化はできており、HATおよび多アリール化天然物合成にも応用できる準備は整っている。したがって、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
アリール基が異なるHAI, HAQおよびHAQの化合物ライブラリーを構築する。ライブラリーにおいては、対応する置換基はアリール基である必要はない。また全ての位置がアリール化されている必要もない。さらに、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、エステル、シアノ基などの炭素基、エーテル基、アミン、アミド、チオールなどのヘテロ官能基をもつ、多置換ヘテロ中分子化合物ライブラリーを構築する。 また、本合成法の生物活性分子への応用を志向し、中分子多置換天然物の合成にも着手する予定である。
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