研究領域 | 反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製 |
研究課題/領域番号 |
18H04431
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
魚住 泰広 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 教授 (90201954)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 有機化学 / 化学プロセス / 有機工業化学 |
研究実績の概要 |
2018年度においては遷移金属触媒の固相担持およびフロー反応リアクター(カートリッジ)への展開に注力し,特に銅触媒反応においては,かねてより検討してきた固定化銅触媒によるHuisgen 環化反応を鍵とする医薬品tazobactamの合成を達成した。またさらに特に中分子有機化合物の効率合成に資する連続フロー化学合成手法の確立に関して 1. ポリ(メタフェニレンオキシド)担持パラジウム触媒の設計開発 2. 高分子担持光学活性ロジウム錯体触媒の開発と,それを利用した有機ホウ酸試薬の不均一触媒不斉マイケル付加反応 3. 高分子担持デンドリマチックトリアジン銅錯体触媒の開発とアルコール酸化反応への適用 4. ポリ(テトラフルオロエチレン)担持パラジウムナノパーティクル触媒の開発と炭素-炭素結合形成触媒工程への応用について成果を上げることができた。 中でもtazobactam合成は高分子担持遷移金属触媒が実際の有用医薬品合成に適用可能であることを示している。また2.にあげた連続フロー不斉マイケル付加反応では,その立体選択性は90%を超えるエナンチオ過剰率に達しており,連続フロー反応システムの実用性・実践性を示す結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実績(上記項目6)でも記述した通り,2018年度においては当初計画に従って,遷移金属触媒の固相担持およびフロー反応リアクター(カートリッジ)への展開に注力した。その結果,かねてより検討してきた固定化銅触媒によるHuisgen 環化反応を鍵とする医薬品tazobactamの合成を達成し,特に連続フローによる遷移同環化工程の実施を実現している。またさらに特に中分子有機化合物の効率合成に資する連続フロー化学合成手法の確立に関して 1. ポリ(メタフェニレンオキシド)担持パラジウム触媒の設計開発 2. 高分子担持光学活性ロジウム錯体触媒の開発と,それを利用した有機ホウ酸試薬の不均一触媒不斉マイケル付加反応 3. 高分子担持デンドリマチックトリアジン銅錯体触媒の開発とアルコール酸化反応への適用 4. ポリ(テトラフルオロエチレン)担持パラジウムナノパーティクル触媒の開発と炭素-炭素結合形成触媒工程への応用について成果を上げることができた。 加えて,高分子固定化パラジウム触媒による連続フローカルボニル化反応,高分子分散型プラチナナノパーティクルの触媒活性チューニング,高分子固定化シルバーナノ触媒の開発研究に一定の成果があり,2019年度においてこれら研究の取りまとめを進める上での萌芽となっている。 これらの研究進捗状況は当初計画を上回る進度である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実績を受けて,2019年度(平成31年~令和元年度)においては以下の項目を検討する:1. 高分子担持Agナノ触媒によるカルボニル水素化反応の最適化・基質一般化ならびにフロー化 2. 高分子担持Ptナノ触媒による酸素酸化反応の効率フロー化 3. 超活性単原子Pd触媒の創製とその固定化法の確立 4. 超活性単原子Pd触媒による炭素ー炭素結合形成反応の実施 5. 新しいカルボニル還元触媒としてのヒドリド還元触媒系の探索とデバイス化設計指針の確立 特に項目1.では精密な分光分析に立脚した触媒駆動原理を探求し,同原理に基づく高活性化を検討し,アルデヒド,ケトンに一般的に適用可能な触媒システム構築を目指す。2.では環状脂肪族分子から酸素酸化触媒による脱水素による芳香族化を検討する。3.および4.ではHiyamaカップリング反応を標的反応として,そのppm-ppb触媒量実施を達成したい。5.ではKobayashiヒドリド材料として開発されつつあるLSLHO(La2-x-ySrx+yLiH1-x+yO3-y)を取り上げ,そのヒドリド還元機能を探索する。
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