研究領域 | 太陽地球圏環境予測:我々が生きる宇宙の理解とその変動に対応する社会基盤の形成 |
研究課題/領域番号 |
18H04448
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
島 伸一郎 兵庫県立大学, シミュレーション学研究科, 准教授 (70415983)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 雲微物理 / 気象 / 大気電気 / 雲解像モデル / 超水滴法 |
研究実績の概要 |
帯電した雲粒の衝突併合を通した雨粒の形成速度の変化 (Electro coalescence) を評価する国際共同研究を推進した。まずは、帯電した雲粒同士の衝突併合確率に関するモデルを作った。この新しいElectro coalescenceモデルを、超水滴法に基づく原理的雲解像モデルに実装した。予備実験を通してElectro coalescenceが水雲に対して一定程度の影響を及ぼしうることを確認した。そのうえで、現実の大気条件にもとづく計算事例をいくつか選定し、Electro coalescenceの影響をより詳しく評価する実験を現在進めている。新しいモデルの詳細とケーススタディの結果を報告する論文の準備を進めている。 氷を伴う混相雲に関しては、エアロゾル粒子や雲粒の帯電による、氷晶核(IN)と過冷却液滴の衝突確率の増大に伴い、氷粒子の生成が促進する可能性が指摘されている (Electroscavenging)。しかし、混相雲に関しては超水滴モデルの性能検証がまだ不十分である。そこで、まずは帯電とは切り離して混相雲モデルの開発と性能評価を行なった。 氷粒子の形態変化を陽に予報できる精緻な数理モデルに対して超水滴法を適用し、混相雲の中で氷晶が生成・成長し霰・雹・雪片を形成していく様をより忠実に表現することのできる数値モデルを構築した。孤立した積乱雲の数値実験を通して性能検証を行ったところ、氷粒子の大きさと質量の関係が経験則と概ね整合しているなど、良好な結果が得られた。現在モデルの詳細と性能検証の結果を報告する論文の執筆を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Electro coalescenceの影響を評価するためのケーススタディに着手はしているものの、まだ結果がまとまっていないため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、水雲に対するElectro coalescenceの影響を評価するケーススタディを進める。また、超水滴法を活用することで実現した、氷粒子の形状変化を陽に予報する精緻な混相雲モデルの詳細と性能評価に関する論文の公表を進める。 氷を伴う混相雲に関しては、エアロゾル粒子や雲粒の帯電による、氷晶核(IN)と過冷却液滴の衝突確率の増大により、氷粒子の生成が促進する可能性が指摘されている (Electroscavenging)。混相雲に対するElectroscavengingの影響の評価にも着手する。帯電が無い場合は-15℃程度を下回らないと生成されにくかった氷粒子が、-5℃程度の比較的高温でも多数生成されるようになり、積乱雲の活動が活発化する可能性が考えられる。この影響を、水雲の場合と同様に0次元モデルによる実験からスタートし検証していく。そもそも氷相過程に関しては基本的な雲微物理過程の定量的理解が不十分であるため、信頼性の高い結論を出すことはまだ難しい可能性がある。しかし、氷晶核の性質については近年急速に研究が進んでおり、帯電によりどれくらい氷粒子が増えるかという点に関しては一定の検証が可能であると考えている。
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