公募研究
本年度はMHDシミュレーションに基づいた非定常で動的な太陽圏モデルが完成した。昨年度までに様々な計算スキームの改良(Dedner の磁荷消去法のcrパラメータの改良、内部エネルギーを独立に解くスキームの導入)を行ったが、本年度ではさらにHLLDマイナス法の改良を行った。太陽から距離 100 au の広い範囲の太陽圏の内部を計算することを可能にした。計算は安定であり、太陽圏電流シートを比較的高い解像度で捉えることに成功した。計算結果を既存のモデルSUSANOOと比較した結果、地球の位置における太陽風のMHDパラメータは両者でよく一致した。今年度は研究協力者である三宅准教授とともに銀河宇宙線の伝播の計算に取り組みはじめた。上記の非定常な太陽圏モデルから特定の時刻のスナップショットを取り出し、太陽圏における銀河宇宙線の伝播を計算した。銀河宇宙線の伝播では従来から用いているSDE(確率微分方程式)を用いており、計算方法の信頼性が高い。時間を反転した解法であるため、陽的にMHD方程式を解く太陽圏モデルとは時間発展の向きが逆である。今後は、銀河宇宙線の背景場となる太陽圏モデルの時間進化を巻き戻しつつ、銀河宇宙線の伝播を計算することになる。またプランBとして銀河宇宙線の伝播を時間反転せずに、時間が進む方向を太陽圏モデルと同じように順方向にする方法も検討をはじめた。この場合、地球に到達する銀河宇宙線の超粒子はほとんど存在しないが、100au程度から銀河宇宙線を追跡した場合には数%程度は内部太陽圏まで伝播するという見積もりを得た。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Journal of Physics: Conference Series
巻: 1225 ページ: 012008 (9pp)
10.1088/1742-6596/1225/1/012008