研究領域 | 次世代物質探索のための離散幾何学 |
研究課題/領域番号 |
18H04479
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
本多 智 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10711715)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ネットワークポリマー / スターポリマー / 光反応 |
研究実績の概要 |
本研究では、多官能性ジメチルフェニルシラノール(DPS)類を開始剤とするヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3) の開環重合(ROP)を立案・実施した。そのためのモデル合成として、水を開始剤とするD3のROPとそれに次ぐ鎖末端の変換を通じて主鎖中にヘキサアリールビイミダゾール(HABI)を持つ環状ポリジメチルシロキサン(PDMS)を合成した。そこで、UV照射によってHABIを切断すると、様々な環サイズの環状PDMS混合物は最小単位の直鎖状PDMSにまで初期化されることが分かった。またUVの照射をやめると、この直鎖状PDMSは環化と鎖延長を繰り返して様々なサイズの環状PDMSに再生することが分かった。この変化における環状PDMSの粘弾性を調べたところ、流動性を維持しながら損失正接がUVの照射に伴って一瞬にして約4倍に増大し、UVの照射をやめると数分で元に戻った。一方、他官能性DPSの合成とそれらを開始剤とするD3のROPについても検討を進め、得られた星型PDMSを前駆体として分子鎖中にHABIを有する網目状PDMSを合成した。これらの網目状PDMSにUVを照射すると、固体状態のまま粘弾性が大幅に変化することも見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
二、三、および四官能性ジメチルフェニルシラノール(DPS)類を開始剤とするヘキサメチルシクロトリシロキサンの開環重合により直鎖状および星型ポリジメチルシロキサン(PDMS)を合成することに成功した。また、環状トポロジーの切断・再生に伴って液体状態を維持しながら粘弾性が大きく変化するPDMSの開発に成功し、その方法論を高分子形状初期化(T-rex)法として確立するに至った。これらは2年間の研究計画の大半を1年で達成したことに相当するため、当初の計画以上に研究が進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画以上に研究の進展があったことから、今後の研究では高分子形状初期化法の体系化や異種トポロジーの混合による物性制御など、更なる発展的研究に取り組む。
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