公募研究
平成31年度は細胞内でのPPI解析を可能にするタンパク質ラベル化法の開発を行った。本研究では、タンパク質と共有結合を形成するラベル化剤のラジカル特性の制御が鍵となる。PPI解析を可能にするラベル化剤に求められる性能として、有機光触媒でラジカル化できること、触媒周辺数十nmでのラベル化が可能なことが求められる。すでに、APEX法でも使用されるtyramide以外にも、細胞外のモデル実験の系で、tyramideのラベル化効率を上回る数種類のラベル化剤を見出しており、それぞれのラジカル活性種は異なるラベル化有効距離を持つことも示唆されている。まず、我々が開発したラベル化剤MAUraをはじめN-Methylluminol誘導体にビオチンを結合させた分子をそれぞれ合成した。次に、リガンドに結合する複数の標的タンパク質を網羅的に修飾する手法を開発した。本手法を用いて糖鎖リガンド・レクチンに結合する複数のタンパク質を修飾、二次元電気泳動による解析を行ったところ、複数の標的タンパク質を一挙にラベル化することに成功した。これらのラベル化タンパク質のうち、既知のPPIパートナーのラベル化の検証はウエスタンブロットで確認し、未知のものについては酵素消化後、質量分析による網羅的解析を行ったところ、細胞内に非常に低い濃度で発現しているgalectin-1およびgalectin-3を同定することに成功した。このように、レクチンと非常に弱い親和力(Kd = ~10*3)を持つタンパク質を同定できる技術を構築できたことは非常に高く評価されている。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 6件、 招待講演 6件) 図書 (1件)
Bioorganic & Medicinal Chemistry
巻: 27 ページ: 1110~1118
10.1016/j.bmc.2019.01.036
巻: 27 ページ: 2832~2844
10.1016/j.bmc.2019.05.013
Journal of Synthetic Organic Chemistry, Japan
巻: 77 ページ: 463~471
10.5059/yukigoseikyokaishi.77.463
Chemical Communications
巻: 55 ページ: 13275~13278
10.1039/C9CC05231C
Molecules
巻: 24 ページ: 3980~3980
10.3390/molecules24213980