公募研究
本研究では、脂質夾雑集合体であるオルガネラ膜に焦点を当て、細胞内の特定のオルガネラ膜を認識して結合する合成分子(オルガネラ膜の分子認識化学)を創製することを目的とする。これにより、細胞内の「膜」ならびに「膜が関与する生命現象」を細胞夾雑下でin situ解析・制御するための革新的な基盤ツールを創出する。本年度は、下記の成果を達成した。1)ゴルジ体イメージングプローブの開発。我々は前年度の検討において、ゴルジ体に高特異的に集積する人工モチーフを見出すことに成功している。本年度は、これにいくつかの蛍光色素を導入し、新規ゴルジ体蛍光プローブの創製に成功した。現在さらに、蛍光長波長化や超解像イメージングプローブへの応用を検討している。2)細胞膜インナーリーフレット結合モチーフのペプチドキャリアとしての応用。前年度見出した細胞膜インナーリーフレット結合モチーフにペプチドリガンドを連結したところ、そのペプチドコンジュゲートが細胞膜を透過し、細胞膜インナーリーフレットに集積することが明らかとなった。この結果を受け、細胞膜インナーリーフレット結合モチーフを細胞内への汎用的なペプチド導入技術へと展開した。3)オルガネラ膜結合分子のin vivo応用。我々が以前に開発したmDcTMPは、ゴルジ体と細胞膜に結合するリガンド化合物で、細胞内に発現させたeDHFR融合タンパク質の局在を制御することができる。この化合物を線虫に応用したところ、線虫の筋細胞に発現させたeDHFRの局在制御に利用できることが明らかとなった。この成果は、オルガネラ膜結合分子をin vivoへ展開するための重要な一歩である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件) 産業財産権 (1件)
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