研究領域 | 分子夾雑の生命化学 |
研究課題/領域番号 |
18H04554
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大塚 洋一 大阪大学, 理学研究科, 助教 (70756460)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 質量分析イメージング / フィードバック制御システム / 大気圧サンプリングイオン化法 / マルチモーダルイメージング |
研究実績の概要 |
研究目的:研究代表者が発明した「走査型プローブエレクトロスプレーイオン化法(SPESI)」を高度化した「極致イメージング質量分析法」を開発し、生体組織や細胞の網羅的な化学情報と形状情報を、サブミクロン空間分解能で定量的に計測することを実現する。また、計測で得られる多次元データから、夾雑情報を抽出・可視化する解析法を開発する。さらに、ステロイドやペプチドなどの特定成分群の選択的高感度検出を目的とした、迅速誘導体化反応の物理化学パラメータの理解と、実検体のイメージング法への応用を目指す。 実績:化学情報と形状情報の同時計測法の開発:SPESIのプローブ振動振幅の計測法と、計測中のプローブ振動を安定化するフィードバック制御法を開発し、試料形状と化学情報の同時計測を実現した。原子間力顕微鏡で用いられている光てこ方式を応用し、プローブの上面に照射したレーザ光の反射光の分割フォトダイオードで受光し、センサの差分信号から振幅量を計測するシステムを開発した。従来法と比べて大振幅の変位に対応するための光学系を開発した。更に振幅信号を一定に維持するように、試料ステージの高さを調整するフィードバック制御システムも開発した。本システムを用いて、凹凸がある試料の表面構造の形状と質量スペクトルを同時に計測出来る事を実証した。更にSPESIの走査と質量分析装置の計測を同期するプログラムを開発し、計測の自動化を実現した。翌年度の高空間分解能計測への準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度に計画している生体組織や細胞の安定的計測に必要な要素技術とシステム開発を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
SPESI計測システムの安定化が達成された一方で、質量分析装置の計測安定化は未着手である。大気圧環境におけるサンプリングイオン化では、実験室環境中の微小粒子や、試料から発生する中性粒子が同時にイオン化されることで、質量分析器のイオンを取り込むオリフィスの汚れが発生し、経時的に計測感度が低下することが認められた。次年度は環境の汚染物質を除去する方法を検討しつつ、生体組織と細胞の質量分析イメージングを検証する。計測試料は共同研究者との調整を進めており、生体組織は医学系研究者から提供頂く予定である。
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