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2018 年度 実績報告書

夾雑環境下でのタンパク質相互作用の観測を可能とするネイティブ質量分析法の構築

公募研究

研究領域分子夾雑の生命化学
研究課題/領域番号 18H04561
研究機関横浜市立大学

研究代表者

明石 知子  横浜市立大学, 生命医科学研究科, 准教授 (10280728)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワードタンパク質 / 夾雑環境 / ネイティブ質量分析
研究実績の概要

夾雑環境である細胞内の様々な物質の量的変化を追跡する手法として、夾雑物の多い細胞内のタンパク質が相互作用している複合体を複合体のまま質量分析で観測することにより、ダイナミックな状態の変化の追跡を目的とする基盤的研究を展開している。研究においては、申請者らがノウハウを有する、タンパク質複合体でも解離させずに観測することができるネイティブ質量分析(ネイティブMS)の手法を駆使する。申請者らがこれまで行ってきたネイティブMSでは、タンパク質やDNAからなる種々の複合体を精製後、無機塩などイオン化を妨害する物質を除いて質量分析用に調製しなおした「純粋な」試料を対象に実験を行っている。一方、細胞をミミックしたような夾雑系にネイティブMSを適用するには克服すべき点が多々ある。そこで、本課題はこれらの問題点を解決し、夾雑物の多い細胞から直接サンプリングして、タンパク質やDNAからなる複合体を、機能している状態で観測することができる質量分析による実験系の確立を目指して、実験に着手した。初年度は、まず、無機塩存在下でのタンパク質およびDNA-タンパク質複合体の観測を検討した。続いて、大腸菌発現系を用いて細胞内に近い夾雑環境下でのタンパク質複合体の観測を試みた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

以下のような実験を行い、計画以上の成果が得られたため。
(1) ネイティブMS用の試料導入に用いるnanosprayのチップ径や試料溶液への添加物の検討や質量分析のパラメータの最適化を行うことで、G四重鎖DNA(K+型)やTRF2 DNA結合ドメイン-二重鎖DNA複合体など、リン酸緩衝液やトリス塩酸緩衝液で調製した試料を脱塩なしでのネイティブMSに成功した。(2) ヒスチジンタグ付きのタンパク質ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)をモデル系として、大腸菌発現系で調製後、精製を全く行わないで、ネイティブMSで、補欠分子NADPHを抱えたholo体と外れたapo体の両者の観測に成功した。さらに、培養からネイティブMSまでの一連の試料調製法を最適化することで、培養スケールは0.5 mL以上であれば問題なく実験できることを見出した。そして、精製を行わない状態で、DHFR特異的な阻害剤であるメトトレキサートとの複合体の観測に成功した。

今後の研究の推進方策

アフィニティ精製が困難なタグなしタンパク質でも同様の実験ができることを示す。
夾雑環境下での特異的に結合しうる化合物のスクリーニング系の構築を検討する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Photoinduced in Vivo Magnetic Resonance Imaging (MRI) with Rapid CO Release from an MnCO-Protein Needle Composite2018

    • 著者名/発表者名
      Hyodo Fuminori、Sho Takeya、Maity Basudev、Fujita Kenta、Tachibana Yoko、Akashi Satoko、Mano Megumi、Hishikawa Yuki、Matsuo Masayuki、Ueno Takafumi
    • 雑誌名

      Chemistry - A European Journal

      巻: 24 ページ: 11578~11583

    • DOI

      10.1002/chem.201802445

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structural Diversity of Nucleosomes Characterized by Native Mass Spectrometry2018

    • 著者名/発表者名
      Saikusa Kazumi、Osakabe Akihisa、Kato Daiki、Fuchigami Sotaro、Nagadoi Aritaka、Nishimura Yoshifumi、Kurumizaka Hitoshi、Akashi Satoko
    • 雑誌名

      Analytical Chemistry

      巻: 90 ページ: 8217~8226

    • DOI

      10.1021/acs.analchem.8b01649

    • 査読あり
  • [学会発表] 夾雑環境下でのネイティブ質量分析2018

    • 著者名/発表者名
      高野航太朗、七種和美、小沼剛、明石知子
    • 学会等名
      第71回イオン反応研究会
  • [学会発表] 不揮発性緩衝液で調製した巨大タンパク質複合体の観測の試み2018

    • 著者名/発表者名
      明石知子
    • 学会等名
      第10回LC/MSワークショップ
    • 招待講演
  • [学会発表] Structural Diversity of nucleosomes characterized by nanoESI-MS and structural calculation2018

    • 著者名/発表者名
      Kazumi Saikusa, Akihisa Osakabe, Daiki Kato, Sotaro Fuchigami, Aritaka Nagadoi, Yoshifumi Nishimura, Hitoshi Kurumizaka, Satoko Akashi
    • 学会等名
      22nd International Mass Spectrometry Conference
  • [学会発表] イオンモビリティ質量分析で得られたヌクレオソームの構造多様性2018

    • 著者名/発表者名
      七種和美、渕上壮太郎、明石知子
    • 学会等名
      第66回質量分析総合討論会
  • [備考] 横浜市立大学生命医科学研究科構造エピゲノム科学研究室

    • URL

      http://www-mls.tsurumi.yokohama-cu.ac.jp/lab/stbiol.html

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公開日: 2019-12-27  

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