研究実績の概要 |
本研究は,数年以内に訪れる重力波電磁波対応天体および中性子星合体に対する統計的研究に備えて,木曽シュミット望遠鏡の新広視野カメラTomo-e Gozenを用いた重力波可視光対応天体探査を行うための開発,およびカメラ完成後の広視野探査観測を推進するものである. H30年度前半は,全84枚のセンサをシュミット焦点面に沿って配置し,良い星像を得るための高精度センサ配置機構HAPの設計・製作をはじめとする装置開発を進め,Tomo-e Gozenカメラの全体3/4(84センサ中63センサを搭載)が完成し,残りの21センサ(1/4)も完成間近である.また,中性子星連星合体からの可視光の増減光を捉えるための重力波用突発天体データ解析パイプラインの開発及び重力波アラートに対応した自動観測システムの開発も並行して進め,H30年12月及びH31年3月に行われたLIGO/Virgo重力波エンジニアリング観測ランER13, ER14における重力波アラートに備えた.このエンジニアリング観測ラン期間中は,重力波アラートは発信されなかった.その間,我々は重力波望遠鏡グループの出す擬似アラートに対して追観測を模擬的に行い,Tomo-e Gozenの超広視野性能を生かした観測・データ解析システムが設計通りに動くことを確認した.これにより,木曽シュミット望遠鏡Tomo-e Gozenで数100平方度から1000平方度を超える広い領域にわたって重力波追観測を行うシステムが完成した.
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