本年度は、新しい時間周波数解析手法であるS-method (Quadratic Time Frequency Analysis以下Quadratic TFA)をCCSN(Core Collapse Supernova)のシミュレーションから生成された模擬重力波に適用し、これまで発見されていなかった新たなモードを二つ発見した。これらのうち一つは徐々に周波数が下がっていくモード(モード C)であり、もう一つは知られていた準定常成分の倍音である(モード D)。またQuadratic TFAはモードのトラッキングに有効であることもわかった。また、S-methodを介してQuadratic TFAでの偏光解析手法を開発し、これも適用することで、模擬重力波がどのような偏向成分からなるかを示した。モードCは、知られているモードAと同様にランダムな偏向パターンの変動があり、g-mode由来を疑わせる結果となった。準定常成分(モードBとモードD)についての偏向パターンは、PNS(原始中性子星)の振動からなる偏向パターンと一致していることを示し、これら準定常重力波はPNS core oscillation由来であるとの結果を得た。この準定常重力波の周波数は、SASI (standing accretion shock instability)の周波数のちょうど倍程度(モードB)であり、なんらかの関係性が示唆される。これらの結果はアストロフィジカル・ジャーナルに発表され、論文となった。また、周波数解析コードJuwvidを公開し、同様の計算に用いることができるようにした(https://github.com/HajimeKawahara/juwvid)。
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