研究実績の概要 |
超新星爆発機構の全貌解明のためには、爆発モデルに基づいた輻射計算により予想される光度曲線・スペクトルを導き、これを様々な観測データにより検証することが必要である。本課題では、(1)超新星・爆発的天体現象に適用するための多次元・多波長輻射輸送コードの開発、(2)最新の超新星爆発モデルへの適用による、爆発理論の直接検証、を目的とする。本課題では、特に以下の天体をターゲットとした研究を進める。(a)標準的な「ニュートリノ駆動超新星」の現実的・多次元モデルに基づいた一般的な超新星の研究、(b)「連星中性子星の先駆超新星」モデルに基づいた、連星中性子星の形成過程の研究、(c)「超強磁場中性子星駆動超新星」の多次元モデルに基づいた、超高輝度超新 星の研究。 研究目的(a)に関しては放射性元素崩壊に伴うガンマ線・エックス線放射、可視光度曲線およびスペクトルの輻射シミュレーションがほぼ完了しており、論文を執筆中である。研究目的(b)(c)についても協力研究者との議論が進んでおり、計算セットアップのための準備が進んでいる。 また、本課題で目標とする多次元モデルと実際の観測データとの比較を視野に入れ、単純化された球対称輻射輸送計算を用いた研究を遂行し、以下のような成果をあげた:GRB171205Aに伴う極超新星SN2017iukにおける超高速成分の発見(Izzo, de Ugarte Postigo, Maeda, et al. 2019, Nature)、IIb/Ib/Ic型超新星の後期スペクトル解析による親星質量の多様性(Fang, Maeda, et al. 2019, Nature Astronomy; Fang, Maeda 2018)。 以上の成果を複数の国内外研究会で発表した。
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