公募研究
ムレイドマイシンAの誘導体である3’-ヒドロキシムレイドマイシンAが、抗菌活性を発現するうえでの標的酵素であるMraYを強力に阻害し(IC50 3.2 nM)、様々な臨床分離株、セロタイプ、多剤耐性株に対して広く抗緑膿菌活性(MIC 8~128 ug/mL)を示す事を明らかにした。ムレイドマイシンの緑膿菌選択的な抗菌活性は、緑膿菌が有する特有なトランスポーターによって選択的に取り込まれている事を示唆する。そこで、3’-ヒドロキシムレイドマイシンAの長期暴露によって取得した耐性菌の全ゲノムシークエンス解析による遺伝学的手法により、オリゴペプチドトランスポーターとして知られているNppA1A2BCDがムレイドマイシン選択的なトランスポーターである事を同定した。NppA1A2BCDは、緑膿菌特異的に発現しているトランスポーターであり、このことは、ムレイドマイシンが緑膿菌選択的に抗菌活性を示す事と大きく一致する。さらに、国外連携研究者(米国Duke大学、Seok-Yong Lee准教授)との共同研究により、Aquifex aeolicus由来MraYと3’-ヒドロキシムレイドマイシンAを含むヌクレオシド系天然物群(カルバカプラザマイシン、カプラマイシン)との網羅的な複合体とのX線結晶構造解析に成功した。本成果により、MraYの構造に基づいた論理的な薬物設計が可能となり、例えばウレア部をスクアラミドへ変換した単純化誘導体(IC50 3.2 nM)を設計・合成する事ができた。また、ムレイドマイシンと同様に強力なMraY阻害活性を有するツニカマイシンに関する構造活性相関研究も行った。その結果、ウリジン部は活性に必須であるが、長鎖脂肪酸、N-アセチルグルコサミン部は活性発現に重要ではあるものの、変換可能である事がわかった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (1件)
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