公募研究
動物由来の天然毒にはユニークな構造や切れ味鋭い活性をもつものが多い。また加速進化により、有毒動物由来の生理活性ペプチドには多様性がみられる。このような新規神経毒の化学的解明は、薬理学、神経科学、精神医学など広範な生命科学の発展に寄与し、疼痛治療薬など新規薬剤の開発にも直結する1)。本研究では、化学生態学・進化学的にも興味深い、哺乳類由来の有毒物質の構造・機能・生物学および生態学的意義を解明し、より高活性な神経毒アナログを創製することを目指して本研究を実施した。(1) トガリネズミ由来の麻痺性神経毒 BPP 類の構造決定と合成・生物活性の解明:有毒哺乳類の一種トガリネズミ由来の新規麻痺性神経毒ペプチド2種を発見し、その一次構造とCaチャネルに対する開口活性を解明した。(2) カモノハシ毒液由来の新規ペプチドの作用機序と新奇神経毒リガンドの創製:CNP断片ペプチドの新たな薬理活性として、GABA受容体の positive allosteric modulator 機能を発見した。(3) 標的受容体・リガンド間の相互作用を質量分析法で解析する新手法の開発:標的分子との結合様式を解明する新たなツールとして、ラベル支援レーザー脱離イオン化質量分析法(LA-LDI MS)に適用できる新規アミドピレン誘導体を開発した。またビオチン・アビジン相互作用をモデルとした標的分子におけるリガンドの結合様式を高精細に解析できる新手法を提唱した。さらに従来よりも100倍以上高感度な LA-LDI MS 測定が可能なN,N-ジメチルアミノピレン基を創出した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
化学工業
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http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~chembio/index.html