公募研究
放線菌Streptomyces anulatus由来の強力なG4安定化物質(G4リガンド)であるテロメスタチンおよびその合成誘導体、ならびにこれらと母核構造の異なるG4リガンドPhen-DC3を処理したヒト細胞について、G4および核内DNA損傷フォーカスの定量解析、GeneChipマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析および変動パスウェイ解析を実施し、G4の安定化に伴う細胞内応答パターンを包括的に捉えた多層データベースを拡充した。網羅的遺伝子発現解析では、多くのリガンドおよび細胞に共通してミトコンドリアゲノム由来遺伝子群への影響が検出された。ミトコンドリアゲノムにはG4形成配列が豊富に存在し、同ゲノム由来遺伝子の発現変動はG4リガンドの選択的な薬力学効果を示すバイオマーカーとなる可能性が示唆された。なお、G4リガンドを処理した細胞において、ミトコンドリアの形態および機能に顕著な変化は認められなかった。一方、G4リガンドの増殖阻害効果が顕著に現れた膵がん細胞株に着目し、G4リガンド処理によって発現変動するタンパク質を網羅同定した。発現低下したタンパク質をコードする遺伝子のセンス鎖には、G4形成配列が有意に多く含まれていた。このことから、転写されたRNA上のG4がリガンドで安定化され、翻訳の障害となる可能性が示唆された。また、本領域A03班の「化学シグナルの統合解析法」に関する成果として、JFCR_LinCAGE遺伝子発現データベースなどの化合物プロファイリング技術を活用し、患者由来胃がん細胞のCD44陽性がん幹細胞画分の生存因子として上皮増殖因子受容体(EGFR)を同定することに成功した。さらにシングルセルRNA解析により、患者由来胃がん細胞の生存因子としてアルデヒド脱水素酵素ALDH1A3を同定した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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