研究領域 | 分子合成オンデマンドを実現するハイブリッド触媒系の創製 |
研究課題/領域番号 |
18H04650
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大久保 敬 大阪大学, 先導的学際研究機構, 教授 (00379140)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フォトレドックス触媒 / 光反応 / 電子移動 / アルカン / 酸化反応 / C-H結合活性化 / キノン / 分子状酸素 |
研究実績の概要 |
近年、メタンハイドレートやシェールガスなどの非在来型天然ガス資源が注目を浴びている。その掘削技術の開発・進展に伴い、今後産出量が顕著に増大することが予想され、低級アルカンを多く含む天然ガスの利用法は、一刻を争う重要研究課題である。アルカンの酸化反応では、強力な酸化剤が必要であるが、本研究ではキノン類の光励起状態が持つ強力な酸化力に着目して研究を推進した。2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)は有機一電子酸化剤および脱水素剤として広く有機合成で使用されている。DDQそのものは、ベンゼンやアルカンを酸化することは出来ないが、その光励起状態は、還元電位が3.18 V vs SCE であることがわかっており非常に強力な電子移動酸化剤として機能する。またそれと同時に、強力な水素引き抜き剤としても働く。本研究ではDDQまたはp-ベンゾキノン誘導体を用いたアルカンの酸化反応について検討を行った。基質としてシクロヘキサンを用いた場合、DDQの光励起状態により電子移動反応が効率良く進行して、シクロヘキサンラジカルカチオンが生成することを見いだした。その後脱プロトン化を経由して最終生成物であるシクロヘキサノンとシクロヘキサノールを与えることが分かった。一方、プロパンを基質として用いた場合、生成物としてアセトンが効率良く得られた。反応中間体は時間分解過渡吸収スペクトル測定などで検出を行い、電子移動に伴うラジカルイオン種が全く検出されなかったことから、DDQの光励起状態との間での電子移動反応ではなく水素原子移動によって酸化反応が進行することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フォトレドックス触媒としてpーベンゾキノン誘導体を用いてC-H結合の活性化を経由したアルカンの新規酸化反応法を見いだすことが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に記載の内容に基づいて、今年度は金属触媒との組み合わせを模索しさらに強力な光触媒系を模索する。
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