研究実績の概要 |
本研究では、遷移金属触媒と触媒量のホスト分子(テンプレートや環状分子)の重奏的な利用により、位置選択的なC-H 結合変換反応を開発することを目的としている。 我々が以前開発した、触媒配位子と基質間での水素結合を利用するメタ位選択的なC-Hボリル化反応(Nature Chem. 2015, 7, 712)を利用することで、従来のC-H結合変換反応では困難だった芳香族化合物のメタ位選択的に様々な官能基や置換基を導入する方法の開発に成功した(Org. Lett. 2019, 21, 1342)。また、先に述べたメタ位選択的なC-Hボリル化反応で用いた触媒系を人工的な金属酵素と見なすことができると考え、その触媒系をC-Hボリル化に適用することにより、基質との水素結合を形成しえない触媒に比べて、C-Hボリル化が大幅に加速されること、基質特異性や官能基特異性が発現すること、を見出すことができた(ACS Catal. 2019, 9, 1705)。
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