研究領域 | 分子合成オンデマンドを実現するハイブリッド触媒系の創製 |
研究課題/領域番号 |
18H04661
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
武藤 慶 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (60778166)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脱芳香族 / パラジウム / ベンジルアルコール / アリル化 |
研究実績の概要 |
これまでに申請者が見出している結合切断を起点とする触媒的脱芳香族的官能基化反応の改良を行った。この手法は、脱芳香族的官能基化において最難関基質である単純なベンゼン環の脱芳香族的化学修飾を実現する有効な手法である。既存法が抱えていた量論量の金属試薬や過剰量のベンゼン類を用いずとも反応が良好な収率で進行する。しかし、適用可能な求核剤がアリル求核剤のみであり、求核剤の一般性獲得が課題であった。これに際し、求核剤の位置制御可能な新規触媒をデザインし、反応に適用することに解決の糸口を求めて研究を行った。具体的には①用いる遷移金属触媒に併用する配位子のデザイン・開発と、②二つの金属の協働触媒系の確立を目的として研究を進めた。 ①に関して、本年度では、新規触媒(配位子)の合成法の確立と、実際に触媒活性の評価を行った。未だ反応収率と位置選択性は完全ではないものの、新たな求核剤を用いて脱芳香族的官能基化が進行することが確認でき、コンセプトの実証をすることができた。具体的には、市販試薬から調整可能な一般的な触媒を用いた場合、望まぬ反応しか進行しないものの、本研究で合成した新規触媒では選択性を中程度まで改善でき、実際に脱芳香族的官能基化生成物を単離、構造決定できている。 ②に関しても、二つの金属触媒を用いることで、アリル基以外の導入が可能な脱芳香族的官能基化反応が進行することが確認できた。 一方で、本研究から派生し、全く新しい芳香族化合物を出発物質に用いた脱芳香族的官能基化も見出しており、本研究を大きく進展させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
最高難度の反応の開発を目的とし、ゼロから模索したが、実際にコンセプトの堅実性を支持する結果を得られるところまで進展した。本年度で得られた結果は、触媒(配位子)デザイン、合成の礎となるものであり、飛躍につながる結果を得ることができた。 さらに、本研究から派生した新たな脱芳香族的官能基化の反応の開発も完了できており、当初の予定以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
有効な配位子から効果のない配位子まで様々合成でき、それの活性評価を行うことができたため、配位子の構造活性相関が得られている。この結果をもとにさらなる構造の調製をおこない、活性の向上を目指す。協働触媒系においてもほぼ同様の進展がみられているため、二つの触媒の最適化により、収率の向上を目指す。
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