高齢者は腎障害に罹患しやすく、しかも回復しにくいが、その回復力低下のメカニズムは不明である。申請者は、加齢個体の腎臓内には「三次リンパ組織」が形成され、免疫応答の場となって炎症を遷延させることで、障害の修復を遅延させることを見出した。さらに、三次リンパ組織形成には、高齢腎の線維芽細胞が獲得する特殊な形質が重要であることを見いだしたが、その形質獲得の背景には、高齢腎における微小環境の変容が寄与しているのではないかと考えた。 申請者は、腎臓の加齢に伴う経時的なtranscriptome解析を行い、加齢に伴って脂質代謝関連遺伝子が大きく変化することを見出した。さらにLipidomics解析を通して加齢に伴って変容する腎臓内の脂質メディエイター群を同定した。その上でtranscriptomeとlipodomicsを比較し、共通する変化を抽出した。
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