公募研究
一般にがん細胞は42℃で死ぬとされているが、温熱療法下のがん細胞や腫瘍組織の応答、何度でどの程度細胞死が誘導されるか不明で温熱療法は期待ほどの効果が得られていない。これまでに熱に強いがん細胞と弱い細胞が存在することを見出しており、本研究では、熱への応答性の違いがどのように生じるのかを明らかとするため、DNAマイクロアレイによるトランスクリプトミクス、LC-MS/MSによるプロテオミクス、CE-TOFMSによるメタボロミクス情報を取得し、トランスオミクス解析を行った。プロテオミクス解析より、熱耐性がん細胞は温熱ストレス下で、解糖系関連酵素群の発現低下していた。メタボロミクスから解糖系関連代謝物は顕著に低下しており、タンパク質レベルの減少が代謝物の変動に影響することが明らかとなった。また、トランスクリプトミクスの情報からら解糖系関連の酵素群の発現減少は転写レベルでは見られず、減少は何らかの分解過程によるものと示唆された。そこで温熱耐性細胞で特異的に変動したタンパク質についてパスウェイ解析するとユビキチンプロテアソーム経路活性の顕著な亢進が見出され、実際に温熱後にE3リガーゼの一つが発現上昇していること、解糖系酵素PKMのユビキチン化が増加していることが確かめられた。従って、熱耐性がん細胞は、温熱ストレス下でユビキチンプロテアソーム経路によって解糖系酵素を分解していると考えられる。またE3リガーゼの阻害により耐性がん細胞の温熱への感受性化を誘導したことから、本経路は温熱耐性がん細胞の新たな治療標的となることを明らかとした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nanomedicine
巻: 25 ページ: 102169
10.1016/j.nano.2020
薬剤学
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https://doi.org/10.14843/jpstj.79.80
http://www.p.chiba-u.jp/lab/cpp/theme_hatake.html