(A)白色脂肪組織のベージュ化を担うヒストン脱メチル化酵素JMJD1Aの265番目のセリン残基リン酸化の脱リン酸化酵素の同定を試み、① 3T3-L1白色脂肪前駆細胞でJMJD1Aプロテオームを解析し、触媒サブユニットPP1βとミオシン軽鎖ホスファターゼの調節サブユニットMYPT1とを同定。② プロテオミクス解析よりMYPT1がβアドレナリン受容体シグナル依存的にJMJD1Aと相互作用する知見を得た。 (B)ロシグリタゾン(核内受容体PPARγのアゴニスト)添加によりベージュ化を誘導する系で、MYPT1、PP1βがベージュ化を抑制することを見出した。① 野生型マウス由来の皮下白色脂肪初代培養細胞において、MYPT1またはPP1βをノックダウンすることにより熱産生遺伝子群の(Ucp1など)発現が増加した。② MYPT1flox/floxマウス由来の皮下白色脂肪初代培養細胞に、Creリコンビナーゼのアデノウイルスを感染させMYPT1遺伝子を欠損させることでも同様に知見が得られた。 (C)MYPT1はJMJD1AおよびJMJD1A以外の標的を介してベージュ化を抑制 ① MYPT1のノックダウンで、不死化前駆 白色脂肪細胞のJMJD1Aの265番目のセリン残基リン酸化レベルが増加した。② S265A-JMJD1A点変異マウス由来の初代 皮下白色脂肪培養細胞でMYPT1ノックダウンにより、野生型に比べ、点変異マウス由来のベージュ細胞では、Ucp1の発現誘導は低下していた。 (D)MYPT1が標的とするリン酸化タンパク質の網羅的な同定。 MYPT1をノックダウンした不死化白色脂肪前駆細胞からリン酸化ペプチドを濃縮・精製し、リン酸化プロテオミクス解析の結果、MYPT1ノックダウンにより、リン酸化ペプチドの数が増加するMYPT1の脱リン酸化標的タンパク質を網羅的に同定する事に成功した。
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