研究実績の概要 |
平成30年度は、当研究室で開発した蛍光性タンパク質温度センサーtsGFPを、in vivo評価に適した形へ改良した。具体的には、25℃付近で鋭敏な変化を起こす変異体ならびに核に局在型する変異体を作製した。tsGFPは、緑色蛍光タンパク質(GFP)の両端を、コイルドコイルを形成するTlpAで挟んだ構造をしている。このTlpA領域が温度依存的に二量体の形成とかい離の構造変化を起こすことで、GFPの蛍光特性が変化する。そして、TlpAの安定性が、温度変化を鋭敏に検出できる温度領域を決定する。現在報告しているtsGFP1, tsGFP2はそれぞれ37℃と43℃前後で最も高い感度を示すが、線虫、ショウジョウバエなどのモデル生物は至適生育条件が25℃前後である。従って、この温度域で最適な感度を示すtsGFP変異体を設計することで、これらモデル生物の細胞内小器官における熱産生や温度変化を観察可能となる。そこで、アミノ酸レベルでの変異体を数種類作製し、25℃前後で鋭敏な感度を示す変異体が得られた。さらに、Simian Virus 40由来の核局在シグナルを付加した核局在型tsGFP1-nucを作製した。 これらの成果を元に、以下の発表を行った。 1. Reiko Sakaguchi, “Development of Intracellular Thermosensors for the Understanding of Energy Production in Mitochondria”. The 9th International Symposium of Advanced Energy Science, Sept 4th, 2018 (invited speaker). 2. 坂口怜子、清中茂樹、森井孝、森泰生「ミトコンドリアのエネルギー産生システムの理解を目指した細胞内温度センサーの開発」ゼロエミッションエネルギー研究拠点 平成30年度 共同利用・共同研究成果報告会、2019年3月7日
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