公募研究
内温性動物は、体温を一定に保つために、外気温の変化に応じて体内の熱産生を制御する機構を持っている。哺乳類の熱産生に関しては、特定の細胞内小器官からの熱産生が提唱されているが、これを直接的に評価する方法が不充分であったことから、熱産生の定量的な議論や実際の体温変化への寄与はほとんど理解されていなかった。現在までに、サルモネラ菌由来の温度感知タンパク質であるTlpAとGFPを融合した、細胞内および細胞内小器官の温度計測を可能とする温度センサータンパク質(tsGFP)を開発した。tsGFPは37℃付近の温度変化を鋭敏に感知し、励起スペクトルの2つの極大の変化をレシオメトリックな変化として検出することができた。tsGFPはタンパク質ベースであることから、遺伝子を導入するだけで非侵襲的に生細胞内・組織内で発現させることができ、さらに細胞内小器官局在シグナル配列を付与することで、各小器官における特異的な観察が可能である。これらのセンサーを用いて、小胞体特異的な熱産生や、ミトコンドリア内の温度分布の可視化に成功している。本年度は、生体内温度の生理学的な意義の解明のために、モデル生物でのin vivo応用に適した、25℃付近を鋭敏に検出できる改変体と、その変異体で細胞内小器官に特異的に発現するtsGFPをタンパク質工学の手法で作製した。これらの変異体は実際にHeLa細胞内で発現が確認でき、外液温度依存的に蛍光特性の変化が観察できた。このセンサーを使って、ショウジョウバエ由来細胞内での代謝変化に伴うミトコンドリア内温度変化を実証した。また、tsGFPを体内で発現する線虫を作製し、生育温度が異なる環境下で育った線虫の体温の比較を行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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