研究実績の概要 |
本研究はオーキシンデグロン技術をヒト培養細胞に応用し、ヒト染色体構造と機能を解明することを目標としている。
SMC5-6複合体は、そのリング状の構造からDNAをトポロジカルに捉えることで機能を果たしていると考えられるが、その明確な機能は明らかになっていない。そこで、SMC5-6複合体に対するオーキシンデグロン変異細胞を作成し詳細な解析を行った。その結果、SMC5-6複合体の除去は染色体不安定生と分配異常を引き起こし、DNAダメージやp53の活性化を引き起こすことをしめした。さらに、染色体部分配異常は、直前のS期とG2期にSMC5-6が欠損していると、引き起こされることをみいだした。これら結果をまとめて論文発表した(Bueno Venegas et al. Cell Reports, 2020)。
並行して、複製関連因子MCM8-9の機能解析を継続している。複製ヘリカーゼMCM2にオーキシンデグロンタグを導入し、S期にMCM2を分解すると、MCM8-9に依存したDNA合成が観察される。このDNA合成には相同組換えが関与しているが、そこに新規因子HROBが必要であることを見出した。HROBとMCM8-9は同一の経路で、DNA未複製領域を複製するのに機能すると考えられる。またHROBとMCM8-9は減数分裂組換えにも関与することを見出した。これら結果を論文発表した(Hudest et al., Genes and Development, 2019)。
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