研究実績の概要 |
本研究では、分光顕微鏡画像をスパースコーディングを用いて線形過完備な独立基底に分解し、この独立基底をその特徴(色・テクスチャー・形など)に基いて分類・弁別し、特定の特徴に相関のある独立基底のみを抽出することで、特定の画像特徴に相関する信号成分のみを抽出する画像解析手法を開発した。開発手法はPython言語を用いて実装し、一部の計算コストの高い演算は、実行環境に応じてGPUを利用した高速化を行えるルーチンとしてC言語で実装し、Pythonプログラムから呼び出し可能とした。 polystyrene(PS), polymethyl methacrylate(PMMA), polyurethane(PU)ビーズを混合した試料の自発ラマン分光画像を対象に開発手法を用いることで、各物質のスペクトル特徴に相関する信号成分の空間分布を得ることができた。また、同手法を用いてヒトファブリー病患者の末梢神経組織中の異常脂質蓄積の脂質特異的イメージングを行うことができた。 さらに顕微鏡切片の脱脂処理前後のラマン分光画像を対象に開発手法を適用し、生体組織切片の局所に存在する微量な脂質の分光スペクトル特徴を抽出し、分子同定を行うことのできる新規の脂質解析手法を開発した。
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