研究領域 | 共鳴誘導で革新するバイオイメージング |
研究課題/領域番号 |
18H04737
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川又 理樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (80602549)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / CRISPR-Cas9 / イメージング |
研究実績の概要 |
ゲノム切断活性の低下による片側アレルゲノム編集誘導法として、mismatch gRNAが有効であることが証明できた。更に、mismatchのポジシ ョンと置換塩基がそれぞれどの程度活性を低下させ、両アレルにおけるindel patternをどう変化させるかの予測システムを構築する目的でtarget sequence-fusion AIMSにより調べたいtarget配列をAIMSに融合させて解析する系を構築した。その結果、理想としていた高精度の予測結果は得られなかったものの、ある程度のアレルindel pattern を反映した結果が得られた。一方で、target sequence-fusion AIMS法はベクターのコンストラクションからdual KI ESクローンの作製までに時間と労力が必要なため、より簡便にゲノム切断活性を低下させ、片側アレルの編集を可能にする技術の必要性が生じた。そこで、申請書にも記載した「mismatchの部位・置換塩基の種類に左右されないユニバーサルgRNAを開発する必要がある」と考え、条件検討を行った結果、gRNAに余分な塩基配列を付加することで付加の長さ依存的にゲノム切断活性を低下させ、それに伴う片側アレルindel誘導が可能となった。 ゲノム切断活性を自在に低下させ、積極的に片側アレルへのindelを誘導する技術は世界で初めてであり、ヘテロ型の細胞株や動物を作製する基盤技術として基礎研究の発展に重要な成果である。また、片側アレルへのノックイン技術を応用することで、遺伝性変異の安全且つ的確な治療法の開発や、ヘテロ型遺伝性疾患のモデル細胞、動物の作製等にも技術貢献ができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノム切断活性の低下による片側アレルゲノム編集誘導法として、mismatch gRNAが有効であることが証明できた。更に、新規の方法として、gRNAに余分な塩基配列を付加することで付加の長さ依存的にゲノム切断活性を低下させ、それに伴う片側アレルへの積極的なゲノム編集誘導法を開発した。後者の発見は研究計画の内容を予想以上に推進するものであり大きな進捗と言える。一方で、計画していたmismatchのポジションと置換塩基のゲノム切断活性との関与、両アレルにおけるindel patternの予測システムであるtarget sequence-fusion AIMSでは、ある程度のアレルindel pattern を反映した結果を得られたものの、理想としていた高精度のものは得られなかった点がマイナス要素と言える。
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今後の研究の推進方策 |
mismatch法に代わって、簡便にゲノム切断活性を低下させることができる塩基付加法を中心として、片側アレル ゲノム編集法の安定化、予測プログラム、in vitro/invivoでの応用技術の開発を行う。ゲノムtarget配列の違いによって活性の低下度が異なるため、これを予測できるプログラムの作成を行う。また、gRNA-Cas9のゲノム切断活性からアレルindel patternの予測は必須であり、これを可能にする数式を膨大な実験データをもとに作成する。indelの誘導のみならずdonor DNA依存的な相同組換えによる片側アレルノックイン技術も確立する。最後にこの片側アレルゲノム編集法がマウス個体でも誘導可能かどうかを受精卵へのCRISPR plasmidの導入による個体作製、もしくは(肝臓)組織への 直接導入(Hydrodynamic injection法)によって検証する。
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