本研究は、細胞骨格を足場として、活性酸素種やレドックス活性金属イオンのナノイメージングを実施するための化学ツールを開発することを目指すものである。当該年度においては、前年度に引き続き細胞骨格分子である、アクチン、微小管、および細胞内脂質に結合する蛍光プローブ分子の開発に取り組んだ。 前年度には、アクチンへの結合活性が知られている分子を用い、それを使ったアクチンフィラメント共有結合性化合物の合成を実施した。目的化合物を得ることができたが、細胞イメージングの結果、一部アクチンフィラメントへの結合も見られたものの、その大部分が他の細胞内器官および細胞膜へと結合したものとなった。 一方、アクチンフィラメントは、特異的結合分子が非常に限定的であるため、まずは市販化合物として入手できる微小管結合性化合物を使ったプローブ開発へと転換した。すなわち、微小管結合性部位としてパクリタキセルを用い、それに対して各種蛍光プローブを結合した化合物の開発に着手した。目的化合物について、その前駆体までの合成を達成し、当該研究期間内では完了しなかったものの、引き続きその機能評価を行なっている。また、これらに加え、脂質に着目し、脂質膜に固定化される各種蛍光プローブ分子の開発に着手した。こちらについても現在すでに合成を達成しており、細胞を使った機能評価の段階に進んでいる。 これらプローブを使い、活性酸素種のナノイメージングへとつなげていきたい。
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