公募研究
神経回路構造を明らかにするためには、全脳レベルからシナプスレベルまで、複合的な階層システムを解析しなければならない。我々は、単一神経細胞レベルで軸索投射様式を解析し、そこに共通する『原理・原則』を見出すことで、中枢神経系の基本構築解明を目指してきた。しかし、これまでに用いてきた手法には、技術的制約や実験効率といった観点から、多くの問題点があった。そこで本研究課題では、(A) 目的とする神経細胞を隅々まで標識し、高速かつ高解像度でイメージングする基盤技術、(B) 厚みのある標本で、シナプス前・後構造を標識する基盤技術、(C) 『マクロ-メゾ-ミクロ』の各階層をシームレスに解析する実践的応用開発を推進し、従来法の問題点を解決する。本領域で展開されている、色素、光学顕微鏡、イメージングソフトウェア、サンプル調製を包括する技術開発を参考にしながら、令和元年度は以下の課題に取り組んだ。(1)アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる標識:我々が独自に開発した「高発現型AAVシステム(Sohn et al., 2017)」を用いて、光学顕微鏡観察および電子顕微鏡観察の両者に対応する標識技術を確立した。さらに、超解像顕微鏡にも適応可能なベクターを開発し、in vitroで実証実験を行った。(2)電子顕微鏡観察にも適した透明化法を開発した。スライス標本を半日程度で透明化することができ、膨張や収縮は生じない。マウス脳を用い、全脳レベルからシナプスレベルへのズームインに成功した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 6件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件)
genesis
巻: 58 ページ: e23341
doi: 10.1002/dvg.23341
Juntendo Medical Journal
巻: 65 ページ: 554~560
10.14789/jmj.2019.65.JMJ19-OA17
https://juntendo-cellbio.jp