研究領域 | 共鳴誘導で革新するバイオイメージング |
研究課題/領域番号 |
18H04745
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
日高 章理 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (70553519)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 深層学習 / バイオイメージング / U-net / Pix2pix / 畳み込みニューラルネットワーク |
研究実績の概要 |
主として以下(a), (b)の研究成果を得た. (a)共焦点レーザー走査型顕微鏡によって,高フレームレートで被写体の動きを細かく捉えているが,高感度化のためゴマ塩状のノイズによって1枚1枚の画質が粗い画像系列{X}と,低フレームレートで被写体の動きは粗くしか捉えられていないものの,低感度のため1枚1枚の画質は比較的鮮明な画像系列{Y}があるとする.このとき,比較的鮮明な画像系列{Y}に対し,ノイジーな画像系列{X}の見え方に似るようにあえてゴマ塩ノイズを乗せた画像系列{Y'}」を作成する.このとき{Y'}を入力,{Y}を出力目標(教師信号)として画像生成モデル(U-net)の学習を行うと,得られたモデルは{Y'}に与えられたノイズ(⇔{Y}が{X}に似るように加えられたノイズ)を取り除く機能を持った写像となる.このモデルを(高フレームレートだがノイズの多い)画像系列{X}に適用することで,「高フレームレートかつ比較的鮮明な画像系列」を得ることができた.当該成果は国際会議ICARCV2018で発表した. (b)撮像原理が同一だが性能が大きく異なる2台の顕微鏡で撮影した画像のうち,鮮明な画像H(高性能顕微鏡画像)を不鮮明な画像L(低性能顕微鏡画像)の見え方に似るようにあえてノイズを乗せる(「汚す」)ことによって作成した疑似低画質画像L'を用い,画像ペア(L', H)によって画像生成モデル(Pix2pix)の学習を行うことにより,得られたモデルを用いて(真の)不鮮明画像Lの鮮明化を行うことが可能となった.当該成果は国内研究会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H30年度は4月時点で検討していた研究上のアイディアについて,主に実験ツール開発と予備実験を行う予定であったが,外部共同研究者との連携により,夏頃の時点で研究成果(a)「高フレームレートで撮影したノイジーな顕微鏡画像におけるノイズ除去」について良好な結果が得られ,11月の査読付き国際会議で成果報告することができた. また,年末年始に掛けて研究成果(b)「高性能顕微鏡画像から得られる人工劣化復元写像を用いた低性能顕微鏡画像の高画質化」に関して良好な実験結果が得られ始め,3月の国内研究会で予備的に発表を行い,好感触を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
まず,H30年度の研究成果(a)「高フレームレートで撮影したノイジーな顕微鏡画像におけるノイズ除去」をより高度化する.H30年度はノイズパラメータを手動で決定していたが,自動的に最適なノイズパラメータを決定するための手法を検討する.また,提案手法により高フレームレートかつ比較的鮮明な画像系列を得たあと,実際にその画像系列に含まれる被写体を自動追跡し,その動作特性を定量的に評価する分析手法を開発する. また,H30年度の研究成果(b)「高性能顕微鏡画像から得られる人工劣化復元写像を用いた低性能顕微鏡画像の高画質化」については,まずこれまでの結果をまとめ,査読付きの国際会議または論文誌に投稿する.また,高性能顕微鏡画像を低性能顕微鏡画像に似せるためのノイズパラメータの自動決定法を開発する.また,H30年度は価格が10倍程度異なる2台の走査型電子顕微鏡(SEM)で提案手法の性能を検証したが,他の撮像原理に基づく顕微鏡でも性能を検証していく.
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